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バッハ一族の隠し球???  P.D.Q. バッハ:1712年
バッハ一族の隠し球???  P.D.Q. バッハ:1712年_a0036057_1555791.jpgこの人、この曲、知っているクラシックファンはどの位いるのだろう…。

P.D.Q. バッハ (1807-1742?) 大バッハこと、ヨハン・コダクサン、じゃなかった、ヨハン・セバスチャン・バッハ(1685-1750)の末の末っ子。その作品、序曲「1712年」は、後年チャイコフスキーの作品の下書きとして用いられた。チャイコのあの曲冒頭のモチーフが、どうも「アルプス1万尺」に似てるんじゃないか、と思っていた方には、疑問を解決する鍵となる大いなるミッシング・リンク。

えっと、私、↑の段落でミスタイプはしておりません。彼の存在を発掘した、P.D.Q.バッハ研究の第一人者、Peter Schickele教授がライナーノートにそう書いているので年代表記についてはこれが正式見解なのでしょう。Schickele教授は、各曲の前の曲紹介にも語りで参加し、ピアノやら指揮やらでも参加しています。彼がP.D.Q.バッハ作品を整理するために付けた番号は頭文字S.で表されるのはいいんですが、本当に番号が連続しているかは甚だ疑問です。

と、ここまで書いて疲れて来ちゃった。ええっと、状況をばらしちゃいましょう。
これは手の込んだ設定まで全部含めて冗談音楽です。どう考えても18世紀の人間が書き得ない曲がてんこ盛りですが、まぁ、全部黒幕の教授のせい、ってことでご了承ください。ちなみにかなりアメリカンテイスト入っています。教授、アメリカ人ですから。

以前紹介したホフナング音楽祭が、観て楽しむ舞台としての冗談音楽だとしたら、Schichkele教授のP.D.Q.バッハ作品群は間違いなくCDで聴いて楽しむための仕掛けが施されています。惜しむらくはCDで聴いても日本語字幕は出てこないことで…、イントロ部分の仕掛けは何度か繰り返し聞いてリスニング能力を鍛えて下さい。決して聞き取りにくい英語ではありませんので。

音に対するお馬鹿なこだわりも満載。チャイコの曲で響き渡る大砲の音が、なぜか風船を割る音で代用されていたり、そこに出てくるべきソリストがいびきをかいていたり…。最後の曲では、怪しい教授オリジナル楽器が次から次へと出て来ます。あやしい。

ちなみに指揮者として登場するWalter Brunoさんは、大指揮者Bruno Walterとは別人のようですのでご注意ください。

まぁ、このお馬鹿加減は聴いてみないとわかりません。できれば、チャイコフスキーの序曲「1812年」と、コープランドの「リンカーンの肖像」は先に聴いておいた方が良いですが。
#私は、これらのどちらよりも先にこのCDに出会ってしまいました。それでも勿論笑えますが。
TELARCのP.D.Q.バッハモノが最近ずいぶん再版されて復活してきたようなので、このCDも店頭で出会える日が近いかも。勿論、他の作品も皆こんなノリですが。

<DISK紹介(CD)>
P.D.Q.バッハ:1712年  CD−80210
グレーター・フープル・エリア・4Hクラブ管弦楽団 バッハ ブルーノ(ウォルター) / ユニバーサルクラシック(TELARC)
スコア選択: ★★★★★

タイトルからして怪しい、「バッハの隠し子」による、聴いて笑える冗談音楽集。チャイコフスキーより前に作曲していたのですよ????? きっと。たぶん。オケもの好きな方は、手に入ればこの作品を入口にすると十分笑えるはず。

P.D.Q. Bach (1807-1742)? 1712 OVERTURE & Other Musical Assaults
Professor PETER SCHICKELE(指揮、語り、ピアノ、いろんな楽器、案内人)
Walter Bruno(指揮)
The Greater Hoople Area Off-Season Philharmonic
録音: 1989年1月10−11日  発売:1989年 TELARC 63:08

<入っている曲(各曲前にイントロダクションのトラックあり)>
1712 Overture 序曲「1712年」 (S.1712)
Bach Portrait バッハの肖像
Capriccio La Pucelle de New Orleans(The Maid of New Orleans) (S. under 18)
Minuet Militaire (S.1A)
Prelude to Einstein on the Fritz (S. e=mt^2)
The Preachers of Crimetheus Ballet in One Selfless Act (S.988)
I. Prologue (Bottomless Sorrow; Topless Gaiety)
II. The Lamentations of Jerry Maja
III. Finale: Special Deliverance
by cantotanto | 2004-10-13 01:37 | 語り系&冗談クラシック
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