「思い出のコーラス曲」語り…ヴェルディ:聖歌四編より、スターバト・マーテル
やまねこさんちの1周年記念突発的コメント企画に、トラバで応酬です。
#コメント企画なのにぃ…。ひねくれモンをお許しください。

こちらへのコメントで書いたけど、ハンドルネームを「私はいっぱいうたう」にした、合唱暦十ン年のcantotantoには「思い出のコーラス曲」というお題はネタが多すぎて迷うところです。
が、ちょうど今週日曜日のイベントの時に私の「思い出の曲」の話をリアル知り合いとしていたことを思い出しましたので、その曲で行きます。

その曲は、ヴェルディ作曲、聖歌四編の2曲目、Stabat Mater(スターバト・マーテル)、通称スタバトです。

この曲のテキストは、イエス・キリストがはりつけにされて死んだ時に、嘆き悲しむ聖母マリアを題材にしています。近代のカトリックの聖歌らしく、「永遠の処女」としてのマリアが強調され、彼女にとりなしを頼む内容です。ヴェルディが付けた曲は実にドラマティックで、冒頭のTuttiでの叫びのような情景描写から、マリアにお願いする呼びかけの時の甘い甘いロマンティックな(この場合の意味は、「ロマン派っぽい」の意)なコーラス、最後の死への行進と天国へ上がっていく描写(と私は思っている)、更に、一転して静かに静かにささやかれるAmenまで、曲の雰囲気がころころ変わります。それが物語のように聴く人を捕らえて引き込ませる仕掛けになっていて、流石オペラ作曲の大家が書く宗教曲だな、という感じです。

ちなみに同じ「聖歌四編」の4曲目に当たるTe Deum(テ・デウム)では、序盤のアカペラコーラスが聴こえない…とボリュームつまみを大きくしておくと、突然のfffのSanctus!の叫び声に聴き手もご近所さんも跳び上がる仕組みになっていますが、スタバトの方はそんな心配をせずに自然な音量バランスで聴けるのでは、と思っています。


…という曲のウンチクはここまでにして、私の思い出の話を。

この曲、私が大学に入って4月に合唱団に入り、5月の学園祭でいきなり本番を迎えてしまった「初めての曲」です。
それまで女子高で賛美歌とか合唱コンクールとかは歌ってたけど、本格的な「混声合唱」も、「日本語と英語以外の曲(…ラテン語です)」も初めて。

この曲、このステージでこっちの世界にどっぷり引きずり込まれちゃったのは間違いありません。



そして、時は下って十ン年、それまで存在は気になってたけどスケジュールや自分の演奏技術の自信のなさからあえて接触することがなかった「合唱団その2」に飛び込むきっかけ(というか、引き金)になったのが、このヴェルディのスタバトでした。

これまで、自分に縁遠かったルネサンス~バロックの「古臭い」曲ばかりストイックに演奏してた団が、ヴェルディのスタバトをやるらしい………ここでこの団に飛び込まなかったら、もうこの曲を演奏する機会は一生ないかもしれない………!!

えっと、「昔歌った曲」というものはその経験が「初めて」の頃に近ければ近いほど懐かしさと「もう一度歌いたい欲」を強力に呼び覚ますものらしく、まるでドラマか何かで「昔あこがれた○○君が同窓会に来るんですって」とヒロインが胸ときめかせて出掛けていくシーンのような気持ちで、練習会場の公民館に向かったのを覚えています。


で、当時について、今週聞いてびっくりした話。
創立以来、ルネサンス~バロック~古典期の宗教音楽ばかりを歌っていたため、先生が「今年はヴェルディのスタバト・マーテルをやりましょう」と発表した時、この曲を知ってた人はほとんど誰もいなかった(!)のだそうで。
練習始まって変な和音のせい(いや、ぷーらんくとかに比べれば全然…)で皆が音取りに四苦八苦していた頃に、自己紹介で「この曲を歌いたくて入団希望です」という見学者(=私)が来たので皆相当面食らったのだそうで。
#よっぽどゲテモノ食いだと思われたのだろうなぁ…。

まぁ、何はともあれ、そのお陰で私の活動範囲は物理的にも歴史的にも広がりましたので、今となってはスタバト様さま、です。


次に歌いたいのは、「初めての定演」で歌ったデュルフレのレクイエム。グレゴリオ聖歌好きな合唱団その2の先生を口説いていますが、あまりに作曲者が現代なので、現在のところ拒否られています…。いつか歌いたいよぉ。

そういえば、今年の春の学園祭の曲は何かしらん、と卒業以来聴きに行けたためしなんかないのに気にしてみます。
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by cantotanto | 2005-05-27 03:13 | 合唱曲
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