カテゴリ:語り系&冗談クラシック( 13 )
奇跡の快演(or 怪演)、フェルディナンド顛末。
御挨拶が遅くなりました。先週の土曜日、1/22は「やすおん」本番でした。出演者の皆様、聴衆の皆様、本当にお疲れ様でした。
「One of the members of シャイン会」としてしか関わっていなかった(その中で「酒をよく飲むヤツ(by Hでさん)」という認識はされていたようです…)「やすおん」で、あんなにハデなデビューを飾らせていただいたのは自分でもびっくりでした。共演者のけんいちろうさん、主催者のまみーごさんご夫妻、スペイン一色な衣装を快くお貸しくださったまりぴーさん、いろいろお手伝いいただきましたか~のさんはじめシャイン会の方々、本当にありがとうございました。
例によって長文ですが、語りを演らせていただいた「雄牛のフェルディナンド」の曲についてと当日の演奏について、つれづれ語らせていただきます。

演奏したのはコレ↓に収録の Alan Ridout作曲、フェルディナンド(Ferdinand the Bull)。
というか、このCD以外の音源を知りません(苦笑。ようつべにはライブモノが少し、ありました)

サン=サーンス:動物の謝肉祭

アルゲリッチ(マルタ) / ユニバーサル ミュージック クラシック


このCD、動物の謝肉祭は当然合奏(ちなみにこのCDの「ピアニスト」の壊れっぷりは秀逸www)ですが、その他に入っているのが
・ヴァイオリン+語りの「フェルディナンド」(英語)
・ピアノ+語りの「動物の祈り」(ドイツ語)
・コントラバス(英語表記でDouble Bass)+語りの「小さな寂しい音」(英語)
という楽しい語り小品の数々。穴があくほど(CDなのであきませんが)聴きこんで、リスニングの教材よろしくだんだん話を理解していった楽しいお話たちです。フェルディナンド(というかふぇるじなんどというか)のお話についてはこちらでご紹介(終演後記事。楽譜カバー必見!?)させていただいております。

特にフェルディナンドはコンパクトでかわいいお話、ヴァイオリン1本で和音を奏でるとこんなに闘牛チックでワイルドな音が鳴るのか!という驚き、そして語りの見せ場の多彩さを気に入って(まぁ、叫んだり、とかですわ)憧れてはいたのですが…このCDを聴きこんでから10年間位、「語り付き音楽を10分かけて演らせてくれる場」も、それ以前に必須要件な「こんなワイルドな曲をソロで弾く腕と度胸のあるヴァイオリン弾き」にも心当たりがないまま、まぁこのジャンルを実演できる機会はないものだと思っておりました。

…が、「やすおん」の常連さんのお顔をだんだん覚えてきた頃に、ふとしたところからフェルディナンドの楽譜が出版されていて日本から取り寄せ可能(今は定番?)(さらに役者さんによる語りの動画(激重)の紹介記事まで追加されてる!)ってことに気付いてしまったのが一昨年だったか。譜面を見て火が点きなおしまして…これはこの人しかいない!と「やすおん一華のあるヴァイオリニスト」けんいちろうさんに話を振って一本釣り@昨年の冬やすおん打ち上げ2軒目(しかもその日譜面忘れてきて…ある意味サギです) ごろごろと巻き込んでしまった次第です。だって、真っ青なシャツとか、真っ白な上下とかで東京建物八重洲ホールの後ろのドアから登場した「だけ」で拍手とウケが取れ、そのまま1人でピアノでもヴァイオリンでもハデな曲を弾ける上にコミカルなアンサンブルもどんと来いな人材、そうそういらっしゃいません。

昨年夏前後は双方とも忙しかったので、温めて温めて、結局忙しいけど冬やすおんに強行した、の次第です。あんまり合わせの時間も取れなかったのですが、こんな感じで準備しました。

・年末は音合わせできず、譜面(まだ和訳書いてないよ)を開きながら「打ち合わせ」のみ。私から楽譜に絡むあらすじの紹介、けんいちろうさんから「ここ難しいけど必要?」の確認。その結果わかったことが、「ストーリー上華やかにしたいところはシロート目には豪華だけど割と素直な和音(なことも)」「何かヘンなことが起きている時は譜面上きれいでもすんごく弾きにくい音が書いてある(例:普段はおとなしいフェルディナンドがハチに刺されて大暴れ、おとなしいフェルディナンド(普段のテーマは単旋律)が闘牛場に入場する時のなんだか不器用な二重音のフレーズ。うたや合奏ではなんてことないハモりが、1人弾きだと難しい…)。 シーン別に要る音切っていい音を確認し、10分に収めるため(目分量)にカットしてもいい箇所のあたりを付け、練習(と和訳)がお正月の宿題となりました。

・やすおんのスペイン親善大使、MARIさんことまりぴーさんにご相談し、お手持ちのスペイン衣装&小道具の華やかなラインナップをお借りできることに…ありがとうございました! いやぁ、衣装でこんなにウケを取れることになるとは思ってませんでした、この時点では。

・年明けに2回ほど練習を。しゃべりとヴァイオリンの掛け合い具合など練習。お会いするたびにけんいちろうさんの演奏が流麗になって行って凄い!と感服。いやぁ、難しいモノを振ってしまったと申し訳なく思いつつ、絡めながら語るのは結構楽しく。噛んでも大丈夫な単語とストーリー上絶対に噛んじゃいけない単語があることを知る。練習後はお茶しながら打ち合わせ…てるはずが雑談のほうが多かった気が。絵本らしいストーリー、訳語にはずいぶんアドバイスもいただきました。

・狭いスタジオなら声は出るけどホールで足りる声量かさっぱりわからず。とはいえ大の大人が「歌ってる」ことは許容されても「大声でしゃべっている」状況が許される広い場所が意外とない!(例:うちのリビングや吹き抜け…響きはいいのに…)尋常ではない特殊な発声(?)はイナカな職場の屋外でこっそり練習。mixiのつぶやきで「人気のない駐車場で叫んでみたら遠くに人がいて慌ててクルマに逃げ込んだ」「牛を飼ってる現場で牛風にしゃべる練習をした。木を隠すなら森っす」など怪しい発言をしてたのがコレでした。

・で、最後の合わせをやすおん6日前の日曜日に終わらせたら…翌日から職場でのど風邪が大流行!自分も扁桃腺腫れて痛い…!!という状態に。早めに通院して強力な薬バックアップ体制を整え、土曜日まで声を出さずにひたすらイメージトレーニングでした。しゃべり、仕上げて置いてよかったです本当に。前日夜に急に花粉症らしき症状で鼻とのどが腫れだしてかなりヤバかったのですが、当日朝のステロイド投入でしのぐというギリギリっぷり。

・1年ぶりの東京建物八重洲ホール、「歩いて入場」にもムリのないコンパクトな奥行き、そして無理してしゃべらなくてもよく響くことを確認。練習してきた「大き目しゃべり」だと「むしろヴァイオリンよりうるさい」とのコメントをいただき、安心してのどを温存することに。叫び声も絹は裂けないけど木綿を裂く程度には出そうです…

a0036057_23141743.jpgで、本番。嬉し恥ずかしこんな衣装で登場してしまいました(撮影 by ゆきぴさん@控室)

・主催者まみさんに団体名紹介をいただいてから、けんいちろうさんだけおもむろにヴァイオリンを弾きながら入場…が予想に反して(?)真面目に聴き入られている。さてこの空気はどうなるんだ、と思いつつ前奏曲の途中から入ったら…普段着ない衣装だけでなぜウケる(苦笑) 美味しいところ持ってっちゃってすみません。

・お話を始めると、皆さんよーく聴いてくださってるのがわかってとても嬉しく。お客様に出演者のお子さまが1人いらして反応をどきどきしながら見てたのですがちゃんと食いついていてくれたし、おかしなことが出てきたらちゃんと誰かからくすくす笑いが入る。してやったりでございます。
ドイツリートの「魔王」じゃありませんが、声色遣いで役を読み分けることにとらわれちゃ本来じゃない、とは知りつつ、どうしてもやりたい声色はしっかり演らせていただきました。…牛のお母さんの牛語トーク(爆)

・私が使った声色は「叫び声」を入れても片手で収まるはずですが、ヴァイオリンの技の多彩なこと!VとかΠとかが所どころ指定してあるのまでは何となく理解可能でしたが、++++とかooooとか同じ高さの音符2つ重ねとか、sul G やら sul tasto やらの記載が「あんなことしてあんな音になる」とはけんいちろうさんの解説聞くまで想像だにしてませんでした。観客の方が彼の手元まで注目できたか、状況的に(…って私の悪目立ちか)心配です。

・お客様に感想をきいて再認識したことですが、録音を聴いていると語りとヴァイオリンが交互に動くところ(フェルディナンドのテーマとか)の絡み方が実に心地よい。私の語りは基本前のめりなので(をい)、これはやはりヴァイオリン奏者のセンスの良さに救われているのではないかと。

・ハチに刺されて叫ぶまでは結構必死だったんですが、闘牛場入場あたりまで来たときに「あれ、もうここまで来ちゃった。こんなに楽しいステージは終わって欲しくないよ…」とふと思ってしまいました。歌の舞台ではもうなかなか感じることはない感覚なのですが、ここまで本番を楽しめるのは本当に幸せなことです。

・時間枠で申し込み、10分上限のこの舞台、録音からCDを作るときに1曲1ステージだから10分過ぎちゃったらどうしてもバレます。もし超過ペナルティが出てもそれは自分が受けましょうと開き直って特に巻かずに本番をしゃべりきったら、音の出だしから終わりまで9分50秒であったことが録音から判明。あまりのぴったりさ加減に思わず脱力しました。こんなところまで奇跡的な仕上がりに。

完全無事故、ではないけど、観客のみなさまに「語り付き音楽」のお話が伝わること、への影響はなかったと思っているので(訳文は考えるべきだったか…(反省))、いやはや、素晴らしい舞台に立たせていただきました。あのフェルディナンドが良くできていたとしたら、「作品のチカラ30%、楽器奏者の演奏力30%、勝手知ったハコの鳴りとお客様の一体感30%」のおかげだと本気で思っております。自分は好きにしゃべり倒しただけだしなー。


1時間半後のシャイン会では衣装と一緒に気持ちも切り換えて歌っていたはずが、「牛の人が歌ってると思うとおかしくて」という感想をいただいちゃった次第。うわぁぁ、ごめんなさいです。いつものシャインさん(今回はプチ金管っぽい16番)に加えて歌ったメンデルスゾーンのTrauergesangは歌詞から曲からとにかくロマン派っぽい曲で、我々としてはとても新鮮でございました。

今回のやすおんで残念だったのは、自分の仕込み(着替え等々)で引っ込んでる時間が長く、せっかくなのに聴けなかった演奏がいっぱいあること。あんまり演出に凝ってはいけませんねぇ。

本番後の高揚感のままにお酒を美味しく飲んだら(そしてZOOの皆さまと「冬の稲妻」なども歌ったら←)結局あの日をピークにまたのどの調子を崩しまして、結局深ーい咳とカスカスののどの風邪をまだ引きずってしまっております。

曲のネタストックがいっぱいある訳ではないですが、またいつかこんな場で語ることができたら幸せだなぁと思う次第です。あ、でもメインはうたのほうで参りますよ。
超長文、お付き合いいただきましてありがとうございました♪
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by cantotanto | 2011-01-28 00:52 | 語り系&冗談クラシック
フェルディナンドは、こんな話でした。
<やすおんでご一緒した皆さま(特にヴァイオリンのけんいちろうさんとシャイン会の皆さん)、お疲れ様でした~。ご挨拶遅れて申し訳ありません。本番御礼記事より先に、前談だけ先にリリースです。>

先の生地でネタバレを避けながら宣伝した「やすおん」でのFerdinand the Bull(拙訳日本語版)、無事に終演しましたので曲解説を取混ぜながらレポートを…と思ったらあまりの長さに曲解説を分けました(大苦笑)

原作はこちら(1936年初版とのこと)、

The Story of Ferdinand (Picture Puffins)

Munro Leaf / Puffin



日本では岩波書店からこんなタイトルで出ています。(1954年出版、去年買ったら第56刷でした!)

はなのすきなうし (岩波の子どもの本 (11))

マンロー・リーフ / 岩波書店



つまり、お話の主人公のFerdinand君は雄牛(Bull)で、「はなのすき」な牛らしいことがこのタイトルsだけでネタバレです。(ちなみに日本の絵本では「ふぇるじなんど」と表記されています)
牛が主人公であることは大前提ですが、未読の聴衆に「はながすき」なことが主題だとバラしたくはなかったので、タイトルは「雄牛のフェルディナンド」としてプログラムに載せていただいた次第です。闘牛となるべく育成される牛たちが登場する、スペイン風味たっぷりの作品ですが、原作はアメリカで発表された英語の作品です。お話の始めは"Once upon a time in Spain,"ってな具合です。

<もうネタバレしてもいいつもりで、ざっくりあらすじ>
闘牛を目指す活発な子牛たちの中で、ひとり木陰に座ってお花のにおいをかぐのが好きなフェルディナンド。お母さん(牛)も「どうして他の子みたいに(*1)遊ばないの?」と心配しますが、「お花のにおいをかぐ方が好き」と言うフェルディナンドを好きなようにさせてくれました。
大きく立派な雄牛になってもお花のにおいをかぐのが好きなフェルディナンド。闘牛になりたい他の牛たちから離れていつもの木陰に行こうとしてたのに、ひょんなハプニング(*2)がもとでスカウトの目に留まり、マドリッドの闘牛場でマタドールと対戦する羽目に。
堂々たる闘牛士団の入場(*3)の後、闘牛場に現れた「素」のフェルディナンドは、見物のご婦人方の髪飾りの花(*4)を見つけて座り込み、じっとお花のにおいをかいでいました。皆がけしかけてもフェルディナンドは闘わず(*5)、闘牛の興業は台無し、お里の牧場に帰されたフェルディナンドはお気に入りの木陰で今もお花のにおいをかいで幸せです(*6)

今回演ったのは、原作から少し描写の記載が減らされた(たとえば、闘牛士の構えている武器の種類と目的とか削除)Ridoutの楽譜記載の文から、日本語のテンポが良くなるように少しいじって、いかにも童話らしく訳した拙訳版。何せフェルディナンドのテーマはしゃべりと交互に動く(もちろんVn奏者さまがしゃべりを待って下さる訳ですが)のであんまりだらだらしゃべっても興ざめです。

で、拙訳での反省点と遊びポイントと、この童話の趣旨について、ちょっと注解説。

*1:ここは後で反省。お母さんは「うちの子はよその子と違う」ことよりも「うちの子は仲間はずれでさみしいんじゃないか」と心配していた色が強いので(だから安心したらものわかりよく好きなことさせてくれた)、「他の子と一緒に」が正解でした…。シンプルに削る時の訳語選択って難しいorz

*2:これ、「スカウトの人が来ている時にハチに刺されて暴れる」なのですが、Ridoutの楽譜では「ハチが刺した」とは一言も言ってません。「フェルディナンドが座ろうとした所にハチがいた。もしも皆さんがハチで、牛のお尻が降りてきたらどうしますか?(原作通り)」→ヴァイオリンがピャッと鋭く和音を弾く→語りが叫ぶ!だったのですが、状況、わかりましたですよね…?(今さら心配)

*3:ここでは、原作では多くの階級の闘牛士と多くの武器が出て来て、「これを使って牛を怒らせます」「これで牛にとどめを刺します」という記述がしつこくあります。子供のころにこの話読んだ/アニメ等を観た、という方には牛がブスブス刺されるシーンのイメージが残ってる方が結構いらして、「フェルディナンドが死んじゃう話」と記憶していたという話も聞きました。少なくとも日本の子供には刺激が強そうです。Ridoutの曲では”Banderilleros""Picadores""Matador"という階級名だけが書いてあるので頭をしばしひねった後、メジャーそうな「マタドール」だけ残して後は勝手に横綱土俵入り風にしてしまいましたw

*4:この伏線のために、ショートヘアなのに強引に大きな花の髪飾りを付けて出たという訳で。

*5:「闘牛なのに闘わない」牛は原作&曲ではコミカルかつ牧歌的にさらっと描かれていますが、ここで「牛をあおる」ために赤マント以外の武器の数々が使われます。映像作品とかで怖い印象が残るのはこの辺かしらん。原作発表当時スペインで内戦が起きていたことへの反戦的メッセージの意味があるのでは、と勘ぐられたりもしていたそうですが、作者は「いい趣味」「個性」をのばすこともいいことだよ、と言ってるだけだと発言したこともあったとか。…反戦にしても、「いい趣味もいいじゃん」にしても、これが太平洋戦争よりも前のアメリカでふつうに出版され、読まれていたといのはある意味驚愕でした(もちろん日本で出版されたのは戦後です)。

*6:ここは原作に倣って、「幸せです!」と現在形で終わらせました。「昔々」で始まっているから、お話の時制としてはあれっ、という変化なのですが。日本語の絵本では「座っています…幸せでした。」が採られています。闘牛で使い物にならなかった牛にハッピーエンドがあり得ない(使い物になった牛にもありえない)のは職業柄重々承知ではありますが(そして雄牛がいっぱいいる牧場は超キケンだってことも想像しちゃいますが)、
ここは童話として、フェルディナンドが幸せで本当に良かったな、と思いながら語らせていただきました。

曲の筋でこんなに語れてしまった(汗)
この記事冒頭の絵本の表紙のイメージで、「フェルディナンド2段変形楽譜カバー」を前日夜なべで作ってしまいました。こんなのです↓
a0036057_2382797.jpgお話前半で使用した、「子牛のシルエット」な楽譜カバー。背景はこの記事冒頭の絵本のイメージで、花柄の赤い布を貼りました。子牛の背中に黒マジックテープが貼ってありまして…

a0036057_2403100.jpgで、「何年か経ってフェルディナンドは大きくて立派な牛に…と言いながら「雄牛のシルエット」を貼りつけるとこんな感じに。
リアル観客の方の「わかる人にはわかった」ようでしたので一安心でした。
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by cantotanto | 2011-01-26 02:45 | 語り系&冗談クラシック
JOJOに(むしろかなり)奇妙なあの古典ッ!
この3連休は珍しく完全オフ(で暑さにへばっている)のcantotantoです。

各種ニュースで話題になっていた、「伊豆のJOJOり子」こと、こんな表紙↓の文庫本の実物を手にとってしまいました。
a0036057_2321328.jpg
伊豆の踊子 (集英社文庫)
川端 康成 / / 集英社

注) ご存知の方には不要な説明ですが、中身は古典「川端康成の『伊豆の踊子』」そのまんま、表紙のデザインのみ期間限定で「『JOJO』シリーズ」の漫画家、荒木飛呂彦氏が普段のマンガのタッチのまんま描いた踊り子にすり替わって発売されているモノです。

Web上では何回か見てその都度ダンナと爆笑していたこの表紙なのですが、書店で実物を見ると文庫本サイズだけあって意外に小さい(当たり前のことだが)。

でも、あまりの違和感なので、実験。

正面のダンナに表紙を凝視してもらい、こちらは冒頭ページを朗読、というか読み聞かせ。

「道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に近づいたと思うころ、雨足が杉の密林を白く染めながら、すさまじい早さで麓から私を追って来た。」

ゴゴゴゴゴ…。
冒頭文の主語は「雨足が」なのですが、「すさまじい早さで私を追って来た」の表現が表紙の人物のインパクトに凄みを加えます。
きっとお天気系のスタンド使いに追われているのでしょう。
ゴゴゴゴゴ…。


突っ立っている私を見た踊子がすぐに自分の座布団をはずして、裏返しにそばに置いた。

「ええ・・・・。」とだけ言って、私はその上に腰をおろした。坂道を走った息切れと驚きとで、「ありがとう。」という言葉が喉にひっかかって出なかったのだ。


出会いのシーンがこれです。もうすでにスタンドが発動されているようです。ゴゴゴゴゴ。

踊子は十七くらいに見えた。私にはわからない古風の不思議な形に大きく髪を結っていた。

もうトシがいくつかとか髪の結い方とか正直わかりません。関節もあり得ない方向に曲がっているッような気までして来ます(いや、案外まともな方なのですが(苦笑))。


この企画って、どうなんでしょう?(更に苦笑)
最初のページで実験は止めましたが(立ち読みでやるのもどうかと思うが…)、どう考えても作品世界に新たな何かを持ち込みすぎな気がします。
話題性では充分成功してるんでしょうけどね。

小畑健氏表紙の
人間失格 (集英社文庫)
太宰 治 / / 集英社
こころ (集英社文庫) (集英社文庫)
夏目 漱石 / / 集英社
シリーズの方なら、DEATH NOTEまんま調の話題性と中身とのバランスがまだいい方かとは思うんですけどね。


蛇足ですが、カテゴリ分けは冗談でこちらにしてみました↓。
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by cantotanto | 2008-07-20 23:06 | 語り系&冗談クラシック
世界に愛されるMARIO
YouTube動画ネタですが。

Nintendo Sounds

混声アカペラ集団で、ここまで観客を楽しませれば言うことなしでしょう。

演奏はちょいと荒い感じもありますが、舞台でお客さんを楽しませるための演出をここまでやれればしめたモノです。
#女声5人、男性9人(たぶん)が何人かずつでスキャットで歌い、非番の人たちが「Nintendo」の何かを演じているシカケ。

何年ごろの収録か不明ですが、ネタは結構古め。
とにかくスーパーマリオネタになると客席が沸きます。

でも一番ウケてるのはテトリスなんですけどね。
「非番」の人たちのまじめくさった動きが最高です。
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by cantotanto | 2006-10-06 23:17 | 語り系&冗談クラシック
おバカすぎる掘り出し物(続報)… P.D.Q.バッハ作曲「フィガロの誘拐」
ええ、昨日の仕入れレポートに続いて、P.D.Q.バッハ作曲、オペラ「フィガロの誘拐」の「観る前続報」です。

だって…あまりにキャストがおバカすぎるんですもの(大笑)。
敢えて、あえて開封する前に、パッケージ裏表だけ見てのレポートです。

まず、タイトル。Abduction of Figaroは間違いなく「フィガロの誘拐」と訳していいでしょう。
これ、モーツァルトの「フィガロの結婚」と「後宮からの誘拐(逃走、と訳されている場合あり)」のごちゃ混ぜですね。

で、キャストを見ると、モーツァルトの名オペラのオンパレードおちょくりごった煮なのが、一目瞭然。1984年当時のアメリカの歌手についてちっとも情報を持ち合わせていないので歌手については突っ込みませんが、キャスト説明を以下にアップして突っ込みを入れまくりましょう。

P.D.Q. BACH :  The Abduction of Figaro
VAI DVD 4251
A SIMPLY GRAND OPERA
Doggedly Edited and Conducted by Prof. Peter Schickele*1
World Premiere Pergormances presented by THE MINESOTA OPERA*2

Cast
LeRoy Lehr, bass (Al Donfonso*3, Pasha Shaboom*4, Papa Geno*5)
Dona Krueger, mezzo-soprano (Susanna Susannadanna*6, Mama Geno*7)
Bruce Edwin Ford, tenor (Pecadillo*8)
Marilyn Brustadt, soprano (Blondie*9)
Michael Burt, bass-baritone*10 (Donald Giovanni*11)
Jack Walsh, almost-a-baritone*12 (Schlepporello*13)
Will Roy, basso (Captain Kadd*14)
John Ferrante, bargain counter tenor*15 (Opec*16)
Arthur Kaemmer (Figaro*17)

[解説]
*1:Schickele教授は以前にも書きましたがP.D.Q.バッハ研究の第一人者にして名指揮者(?)にして本人。アメリカ人です。
*2:ミネソタオペラ…どんな団体か寡聞にして知りません。ちなみに歌手も合唱も英語だそうです。
*3:モーツァルトのオペラ(以下、この枕詞は略)「コジ・ファン・トゥッテ」で茶番の仕掛け人となる哲学者…の名前はドン・アルフォンソですって!
*4:「後宮からの誘拐」でヒロインたちを捕まえてる太守(パシャ)、セリムのパロディ。(Special thanks to Lynnさん)
*5:おなじみ「魔笛」の鳥刺しクン。でも、何でパパとゲーノの間にスペースが…。
  さりげな~く1人3役、トリプルキャストってどういうことだろう…。
*6:「フィガロの結婚」のフィガロ君の婚約者スザンナ。のはずですが、ファミリーネームはスザンナダンナ、なの…??
*7:「魔笛」のパパゲーノの相方はママ・ゲーノ!!…じゃなくて、本当はパパゲーナよ。
*8:「後宮からの誘拐」で誘拐しに来る主役のベルモンテの従者、ペドリッロのもじり。(Special thanks to Lynnさん)
*9:たぶん、「後宮からの誘拐」で捕まっている侍女のブロンデのこと。ちゃんと*8さんの彼女な設定になっているかしらん。
*10:このあたりから歌手のパート表記が丁寧(?)になる。バス-バリトンは本当に使われる表記ですけどね。
*11:「ドン・ジョヴァンニ」のタイトルロール。でも、名前はドナルドじゃないですよ~。
*12:"ほとんどバリトン”って、なんじゃそりゃ。
*13:たぶん、「ドン・ジョヴァンニ」のジョヴァンニ氏の従者、レポレッロ君のもじり。
*14:キャプテン・キッドのもじりだろう(by Lynnさん)、とのことですが、モーツァルト作品に、いますっけ?
*15:"バーゲン・カウンターテナー"って、一体何でしょう?? 聴くまでわからなさそう。
*16:収録当時の新聞記事からOpecは「後宮」の番人、Osminのモジりであることが判明(Special thanks to M生さん)。これはバス役なので、カウンター氏に振っているのはもちろん作曲者の悪戯でしょう。
*17:で、「フィガロの結婚」とこのオペラの主役(のはず)、フィガロ君。ちなみにロッシーニの「セヴィリアの理髪師」の主役のフィガロ君は同一人物な設定のはずです。でも、なんでタイトルロールだけ歌手の肩書きがないんだろう………。まさか、歌わない、とかぁ?????

書けば書くほど、謎が深まりますw
千人の練習録音聴くのが一段落したら、中身を観てレポートしますね。
字幕なし英語演奏なので、1回観ただけじゃレポートできなさそうなのがつらいのですが。


050511(日付変わったばかり)追記:
Lynnさんにいただいたコメントを受けて、人物注に加筆しました。本当にありがとうございました>Lynnさん

070821、久しぶりに追記。
M生さんに'84年当時の記事を教えていただき、Opecさんの元ネタがわかりました。本当にありがとうございます!
久しぶりにこのDVD、もう1回観ようかなぁ(…そう、この後実は1回観てレポートしてなかった、と。)
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by cantotanto | 2005-05-10 01:41 | 語り系&冗談クラシック
冗談音楽の棚設置希望… 日本人向けメジャー曲ピアノ編
以前、街の話題としてちらりと触れた、おらが街のショッピングセンターその2(今週オープン)に早速入って参りました。

ちゃんと復活してました。CD屋さん。

売り場面積も棚数も大幅拡大。



しかぁし。

クラシック売り場がちっとも使えない orz

ミーハー一般ウケタイトルと、ごく一部の定番曲のメジャーレーベルラインナップを少々。
これじゃぁかえって、移転改装前の方が魅力的でしたって。

まぁ、しょうがない、何かいいものは見つからんか、とおもってざっと眺めていたら、

「クラシック:オムニバス」の棚に、展覧会のエッ!?~ピアノ座のHIROSHI~が置いてあるのを見つけてしまいました。

あのぉ、これ、どう考えてもどこかで聴いたクラシック~優しいメロディとかアヴェ・マリア100%とかと並べて売る商品じゃないですって。

是非、「冗談音楽」の棚仕切りを作って欲しいと切望するの次第です。
#私が知ってる店では、山野楽器くらいでしか見たことないのです。
##石○あたりで、「あのぉ、P.D.Q.バッハを探しているのですが…現代音楽の棚でしょうか…??」とか聞くのもやっぱり恥ずかしいので、是非設置して欲しいのです。

という訳で、ピアニスターHIROSHIです。
確かこの方、芸大の学生さんだった頃に「誰でもピカソ」に出ているのを観た記憶があるのですが、ピアノを使った誰にでもわかりやすいパロディをこれでもかこれでもか~~っと叩きつける芸風の方でございます。クラシックの曲の雰囲気も、現代日本人にお馴染みの音楽要素も、どちらも大事にしているのでとにかく皆に面白い。
清水ミチコあたりも得意とするジャンルですね。

まぁ、どんな曲が入っているのかは、下のタイトルを読んでいただければよくわかるんですけどね。

このCDは、彼のデビュー作で、クラシックを聞きかじったことのある人でも充分わかるパロディ満載です。

タイトルはもちろん、ムソログスキーの「展覧会の絵」から取られていて、本作と同様、曲から曲へ移る合間に、「プロムナード」のテーマがいろんなかたちwで流れるようになっております。
CD全体を通して、1本のコンサートの形になっていて、開幕のブザーから、休憩時間のおしゃべり(よーく耳を凝らすと内容までわかる!)から、調律士の得意曲(!?)まで、いろんなおまけが入っています。
まぁ、とにかく、あとは聴いてのお楽しみ。


<DISK紹介(CD)>
展覧会のエッ!?~ピアノ座のHIROSHI~
ピアニスターHIROSHI HIROSHI / キングレコード  KICC 239
スコア選択: ★★★★★

ピアニスターHIROSHIのお笑い本領発揮、の1枚。パロディ元ネタにわかりやすい演歌とかが多いから、クラシックわがんんね、という方の冗談音楽入門にもよいでしょう。たぶん。
あ、そうそう。彼の語りはかなりなよっとしていますので、生理的に受け付けない方ごめんなさい。

入っている曲

第1幕 Act 1
1. 世にもあっけないプロムナード
2. アイネ・クライネ ”スーダラ” ムジーク
3. 気まぐれなプロムナード
4. ゲゲゲのカンパネラ
5. 英雄プロムナード ~

組曲「珠玉のビートずるっ!」
   昨日ポロネーズ
6. 月光ミッシェル
7. 乙女のプロムナード ~ 乙女のオブラダ
8. 軍隊ビートずるっ!

9. ヴィヴァルディのプロムナード

10~13. 世紀末組曲「日本の四季」

14.プロムナードの子守歌

休憩

第2幕 Act 2
15.調律のプロムナード
16.タイスの瞑想曲
17.音楽モノドラマ「違いのわかるピアニスターHIROSHIでございます」
18.違いのわかるプロムナード
19.ボヘミアン・ラプソディ  (←クイーンのメドレーです)

カーテンコール Curtain call
20.チャイコルグスキー作曲「プロムナード協奏曲第1番」

終演後 Post concert performance
21.オリジナル曲「ごめんね…」

御礼(ボーナス・トラック) Bonus Track
22.オリジナル曲「50年目のラブ・レター」

ピアノ&語り+パフォーマンス: ピアニスターHIROSHI
1998 King Record


~~ 追記 ~~

ピアニスターHIROSHIのCDは、あと2枚出ています。

新・動物の謝肉祭~ピアノ座のHIROSHI2
ピアニスターHIROSHI 斎藤律子 佐藤義美 / キングレコード KICC 270 1998


ピアニスターヒロシ HIROSHI WORLD GOLDIES
ピアニスターHIROSHI / キングレコード KICC 319 2000


新譜、もう出ないのかなぁ…。
というよりも、この方が今、何をされているのか、気になります。

余談: ダンナも不満を…
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by cantotanto | 2005-03-22 00:15 | 語り系&冗談クラシック
ラター節のクリスマス物語をどうぞ  ラター:3つの音楽寓話
a0036057_112646.jpg今、最も親しみやすいタッチの合唱曲を書ける作曲家、我が敬愛するJohn Rutterさんの音楽物語集です。英語のリスニング能力の如何を問わず、実に耳に心地よい1枚です。
#そりゃ、聞き取れるに越したことはないのですが…。根性で10回聴けば、かなりお話も理解できる…ような気もします…。

3作ともラターさん作曲、彼お抱えの合唱団・オケ・レーベルの組み合わせ…だと思ったら、2曲はCambridge SingersではなくThe King's Singersなのね。確かに、彼ららしいポップな楽しさが溢れてまして、これにナレーションが加わって、ミュージカル風に物語が進みます。

入っているお話は、こんな感じ。3つとも、クリスマス劇ではありませんが、必ずどこかにクリスマスのお祝いが入っていて、ほほえましい感じです。

・THE WIND IN THE WILLOWS
邦題を「楽しき川辺」なんて紹介されることもある物語。直訳は「柳を抜ける風」でしょうか。
いずれにしても中身は川辺も柳もあまり関係なく、ネズミ(Rat)、モグラ(Mole)、アナグマ(Badger)、ヒキガエル(Toad)の友情を描いたのんびり物語…のはずなんだけど、どうしてどうしてカエル君がぶっ飛んだ性格でぶっ飛んだことをやらかしてくれて、なかなかエキサイティング。原作もこのノリなの??
このお話は季節を渡って展開するので、クリスマスキャロルはご挨拶程度に出てくる感じ。でも可愛い。

・BROTHER HEINRICH'S CHRISTMAS
これはそのまんま「ブラザー・ハインリヒのクリスマス」でしょうか。修道院の音楽担当修道士のブラザー・ハインリヒと、修道院でワイン作りに従事するロバ、スィギスムント(Sigismund)の友情物語。このCD収録作品の中で一番クリスマスっぽく、一番合唱らしい合唱付の曲です。この曲だけ役歌手を置かず、全てのセリフがナレーターによって語られています。
一言で言うと、あの有名な(いや、日本ではそんなにメジャーではないかなぁ…)キャロルはこうやって出来たのか~~~というネタばらし(フィクション、ですが)ストーリー。
しかし、「あんたら音楽家が毎年毎年同じキャロルばかり歌わせるのが悪い、新曲書け」という要求はなかなかきつい。本当に直前に出来たら、音取る方も大変だぞ、きっと。

#ロバと言えば…、この動物が遠慮なしに「ヒーホーヒーホー(この曲ではファゴットのH-Gis使用)」鳴くことはいろんな楽曲に使われているのですが(例えば、「動物の謝肉祭」にも。)、日本でそれを生で聴く機会ってなかなかないですよね。私、2年ほど前、某サファリパークで餌をねだるロバに耳元で「ヒーホーヒーホーヒホヒホ」とハスキーな大声で鳴かれ、かなぁりビビッた記憶があります。

・THE RELUCTANT DRAGON
「乗り気じゃないドラゴン」という感じでしょうか。それじゃ何のこっちゃ、という感じですが、要は、ドラゴンファンの少年、文学好きで闘いが好きじゃないドラゴン、そしてドラゴン退治の聖人である聖ジョージ(St. George)の3人の物語。3人で知恵を絞り、いかにドラゴンを傷つけずに退治を行うか…。もちろんこれも、聖ジョージのドラゴン退治伝説とは大分違うお話になっております。実に現代的で楽しいつくりに…w
とにかく、退治が終わると祝宴が開かれるのですが、このフーガ(Banquet fugue)が最高!皆でがつがつもぐもぐ食べる音の、フーガ。最後にバスソロのゲップ付。いつか歌ってみたいw作品です。最後はそっとメリー・クリスマスの一言で終わります。


<DISK紹介(CD)>
Three Musical Fables
Various Artists / Collegium CSCD 513
スコア選択: ★★★★★

ラターさんによる、3つの語り入り音楽劇。

どれもキュート、どれも適度にポップ、どれもラター節、そしてどれもクリスマスエピソード入り。

Tr.1-10  THE WIND IN THE WILLOWS(28'20")
作曲 John Rutter
語り Richard Baker
合唱 The King's Singers
オケ City of London Sinfonia
指揮 Richard Hickox
録音 Roundhouse Recording Studios, London 1983年6月

Tr.11-18 BROTHER HEINRICH'S CHRISTMAS(19'17")
作曲 John Rutter
語り Brian Kay
合唱 The Cambridge Singers
オケ City of London Sinfonia
指揮 John Rutter
録音 the Great Hall of University College School, London 1985年4月

Tr.19-26  THE RELUCTANT DRAGON(21'27")
キャスト、録音はTHE WIND IN THE WILLOWSと全て同じ

STEREO DDD Made in Great Britain 1991年/2003年

このディスク、再版でして、
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by cantotanto | 2004-12-16 00:54 | 語り系&冗談クラシック
学会デスクの片隅に
a0036057_14349.jpg
無事に陸路、北陸入りしました。
学会会場のひとつは音楽堂で、受付デスクの裏に、もとからあったと思われるバッハの家系図(樹?)を発見しました。



当然、P.D.Q.バッハの名はなく、残念。
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by cantotanto | 2004-10-21 14:03 | 語り系&冗談クラシック
バッハ一族の隠し球???  P.D.Q. バッハ:1712年
a0036057_1555791.jpgこの人、この曲、知っているクラシックファンはどの位いるのだろう…。

P.D.Q. バッハ (1807-1742?) 大バッハこと、ヨハン・コダクサン、じゃなかった、ヨハン・セバスチャン・バッハ(1685-1750)の末の末っ子。その作品、序曲「1712年」は、後年チャイコフスキーの作品の下書きとして用いられた。チャイコのあの曲冒頭のモチーフが、どうも「アルプス1万尺」に似てるんじゃないか、と思っていた方には、疑問を解決する鍵となる大いなるミッシング・リンク。

えっと、私、↑の段落でミスタイプはしておりません。彼の存在を発掘した、P.D.Q.バッハ研究の第一人者、Peter Schickele教授がライナーノートにそう書いているので年代表記についてはこれが正式見解なのでしょう。Schickele教授は、各曲の前の曲紹介にも語りで参加し、ピアノやら指揮やらでも参加しています。彼がP.D.Q.バッハ作品を整理するために付けた番号は頭文字S.で表されるのはいいんですが、本当に番号が連続しているかは甚だ疑問です。

と、ここまで書いて疲れて来ちゃった。ええっと、状況をばらしちゃいましょう。
これは手の込んだ設定まで全部含めて冗談音楽です。どう考えても18世紀の人間が書き得ない曲がてんこ盛りですが、まぁ、全部黒幕の教授のせい、ってことでご了承ください。ちなみにかなりアメリカンテイスト入っています。教授、アメリカ人ですから。

以前紹介したホフナング音楽祭が、観て楽しむ舞台としての冗談音楽だとしたら、Schichkele教授のP.D.Q.バッハ作品群は間違いなくCDで聴いて楽しむための仕掛けが施されています。惜しむらくはCDで聴いても日本語字幕は出てこないことで…、イントロ部分の仕掛けは何度か繰り返し聞いてリスニング能力を鍛えて下さい。決して聞き取りにくい英語ではありませんので。

音に対するお馬鹿なこだわりも満載。チャイコの曲で響き渡る大砲の音が、なぜか風船を割る音で代用されていたり、そこに出てくるべきソリストがいびきをかいていたり…。最後の曲では、怪しい教授オリジナル楽器が次から次へと出て来ます。あやしい。

ちなみに指揮者として登場するWalter Brunoさんは、大指揮者Bruno Walterとは別人のようですのでご注意ください。

まぁ、このお馬鹿加減は聴いてみないとわかりません。できれば、チャイコフスキーの序曲「1812年」と、コープランドの「リンカーンの肖像」は先に聴いておいた方が良いですが。
#私は、これらのどちらよりも先にこのCDに出会ってしまいました。それでも勿論笑えますが。
TELARCのP.D.Q.バッハモノが最近ずいぶん再版されて復活してきたようなので、このCDも店頭で出会える日が近いかも。勿論、他の作品も皆こんなノリですが。

<DISK紹介(CD)>
P.D.Q.バッハ:1712年  CD−80210
グレーター・フープル・エリア・4Hクラブ管弦楽団 バッハ ブルーノ(ウォルター) / ユニバーサルクラシック(TELARC)
スコア選択: ★★★★★

タイトルからして怪しい、「バッハの隠し子」による、聴いて笑える冗談音楽集。チャイコフスキーより前に作曲していたのですよ????? きっと。たぶん。オケもの好きな方は、手に入ればこの作品を入口にすると十分笑えるはず。

P.D.Q. Bach (1807-1742)? 1712 OVERTURE & Other Musical Assaults
Professor PETER SCHICKELE(指揮、語り、ピアノ、いろんな楽器、案内人)
Walter Bruno(指揮)
The Greater Hoople Area Off-Season Philharmonic
録音: 1989年1月10−11日  発売:1989年 TELARC 63:08

<入っている曲(各曲前にイントロダクションのトラックあり)>
1712 Overture 序曲「1712年」 (S.1712)
Bach Portrait バッハの肖像
Capriccio La Pucelle de New Orleans(The Maid of New Orleans) (S. under 18)
Minuet Militaire (S.1A)
Prelude to Einstein on the Fritz (S. e=mt^2)
The Preachers of Crimetheus Ballet in One Selfless Act (S.988)
I. Prologue (Bottomless Sorrow; Topless Gaiety)
II. The Lamentations of Jerry Maja
III. Finale: Special Deliverance
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by cantotanto | 2004-10-13 01:37 | 語り系&冗談クラシック
コントのラジオ中継は成立するか??  ホフナング音楽祭1988
例えば、パペットマペット。ラジオで中継したら、ただの一人漫才じゃないのか。
例えば、いっこく堂。ラジオ中継で「衛星中継」ネタやっても、誰もわからんやろなぁ。
例えば、昔のドリフのコント。ラジオ中継でタライの落ちる音→水がかかる音→家が崩れる音 だけ入っても、何が起きてるかわからんわな。
例えば、やすきよ。漫才ならラジオでいいかも、と思っても、「メガネ、メガネ」って顔見えなきゃ面白くないよねぇ…。

a0036057_2495919.jpgという訳で、結論から。
ステージもの冗談音楽である以上、初めて触れる方には断然1992年プラハのDVDから入ることをお勧めします。やっぱり、お笑いの舞台は観てナンボ、です。そもそも、このCDに収録されてすらいない場面(チューニングとかお掃除とかイスが足りないとか)にも笑いの要素が満載なのですし。

正直、DVDが出回るずっと前(いや、LDはあったようだが私には縁がなかった)、このCDを買った時には何にもわからなくて不満だったのよ。絵本で読んであんなに面白そうなホフナングが、実際の演奏は大したことないじゃん、って。

でも、別の回だけどDVDを観て、音楽祭の内容と曲を知ってから聴き直すと、このCDなかなかの名演奏名録音なんですよ。収録曲数もDVDより多く、歌詞も英語のものが多い(から結構聞き取り可能か??)し、丁寧な対訳が付いている*。後からホフナングをより楽しむには、なかなかいい教材です。映像も出してほしい、という気持ちは変わりませんが。

さて*の丁寧な対訳(全ての台詞モノおよび意味のある歌詞付き声楽曲には付いている)と丁寧な解説、なんですが、ブックレット制作者の意図と違うおかしさを醸し出していて何とも言えません。確かに曲の歌詞がわかるのも、DVDじゃ全然触れられていなかった曲の背景が書かれているのもありがたいのですが、いっこく堂のライブCD(音声のみ)に人形たちのスリーサイズが書いてある、みたいな違和感。勉強にはなるのだがライブが面白くなる方向かどうかはやや疑問…。

<DISK紹介(CD)>
ホフナング音楽祭1988  POCL-3729/30 (←1989年発売版での評)
THE HOFFNUNG FESTIVAL OF MUSIC
(ロンドン・ロイヤル・フェスティヴァル・ホールでのライヴ)
フィルハーモニア管弦楽団
指揮:レントン(フランク) レントン / マッセイ(マイケル)
アーノルド バーグマン(トム) L.モーツァルト シャグラン / ユニバーサルクラシック
2CD 70:48+64:18 at The Royal Festival Hall, London, in February 1988

スコア選択: ★★★

クラシック版強力お笑いライヴ、ホフナング音楽祭のCDです…が、映像がない分だけ笑いを逃している感があり非常に残念。実は演奏は非常に良いです。DVDを先に観ていれば、このライブの映像も目に浮かぶ、かも。ウンチク派は解説ブックレットを熟読のこと。

(入っている曲) *は1992年プラハのDVDに収録されていない曲
CD1
1. チューニングと冒頭の挨拶 Tuning & Announcement
2. ホフナング音楽祭ファンファーレ A Hoffnung Fanfare
3. 大大序曲 A Grand, Grand Overture
4. 水道ホースと管弦楽のための協奏曲 Concerto for Hosepipe & Orchestra
5. カウント・ダウン地方のバラード The Ballad of County Down *
6. テイ川の鯨 The Famous Tay Whale *
7. オペラ「カジモドとジュリエッタ」よりアリア "Quasimodo e Guilietta"-Aria
8. 咳をする人 The Cougher *
9. 序曲「レオノーレ」第4番 Leonora Overture No,4
10. ロッキンヴァー Lochinvar *
11. 人気協奏曲 Concerto Popolare

CD2
1. コンサート・マスター The Concert Master
2. ヴァイオリンと管弦楽のための「恋の協奏曲」 Concerto D'Amore for Violin & Orchestra
3. 序曲「バグパイプはわめく」 Overture "The Heaving Bagpipe" *
4. 「びっくり」交響曲 "Surprise" Symphony
5. ベッドタイムのテーマによる変容 Metamorphosis on a Bedtime Theme *
6. オーケストラ・メドレー Orchestral Swich
7. ピアノと管弦楽のための不協奏曲 Disconcerto for Piano & Orchestra *
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by cantotanto | 2004-10-05 02:42 | 語り系&冗談クラシック