復活するのだ…!
このたびの東北関東大震災(追記:東日本大震災の呼称になりました)では、多くの被災者の方々(亡くなられた方々も、生きて助かった方も)に心よりお見舞い申し上げます。
とても広い範囲に大きな爪痕を残した今回の地震、決して「遠くの出来事」ではなく、私の生活圏にも電気が復旧しなかったり水が出なかったり家に大きな損傷を受けたりと、さまざまな被害を受けた方がすぐ近くに沢山いらっしゃることも感じております。

昨年ほぼ20年ぶりにマーラーの「復活」を歌った際にエバロッティ~さんがおっしゃっていた、「阪神淡路大震災の焼け野原で復興を誓った時を思い出す曲」という話が、あらためてこの歌詞を噛みしめて強く実感されます。

最初は鳥の鳴き声も止んだ「無」の中からかすかに聞こえる声、時に強く、時に対立する2つの旋律として語られ、最後にはfffで生への復活を叫ぶマーラーの交響曲第2番「復活」の合唱+女声ソリの歌詞を、できるだけクロップシュトックが踏ませようとした韻を生かす配置でお送りします。拙訳(飛躍しすぎないつもりの意訳で)での対訳を徐々に付けてゆきます(→2011.3.19 完成 / 3.20一部修正しました)。

Aufersteh'n, ja aufersteh'n, wirst du,
mein Staub, nach kurzer Ruh!
Unsterblich Leben
wird der dich rief dir geben!

 復活する、そう、復活するのだ。
 塵となった我が肉体よ、あと少しだけ休んだ後には!
 お前に呼びかけた、不死の生命が
 お前に与えられるだろう!

Wieder aufzublüh'n wirst du gesät!
Der Herr der Ernte geht
und sammelt Garben
uns ein, die starben!

 再び花開くために、お前は種蒔かれるのだ!
 大鎌を携えた死神がやって来て、
 我ら死んだ者たちを刈り取り、
 束と集めて収穫するのだ!

O glaube, mein Herz, o glaube:
Es geht dir nichts verloren!
Dein ist was du gesehnt,
was du geliebt, was du gestritten!

 おお、信ぜよ、我が心よ、信じるのだ。
 お前は何も失ってはいないと!
 お前が見たもの、お前が愛したもの、
 お前が戦い守ろうとしたものは、お前のものなのだと!

O glaube:
Du wardst nicht umsonst geboren!
Hast nicht umsonst gelebt, gelitten!

 おお、信じるのだ。
 お前が生まれてきたこと、お前が生きてきたこと、
 お前が苦しんできたことは、無駄ではないのだと!

Was entstanden ist, das muß vergehen!
Was vergangen, auferstehen!
Hör' auf zu beben!
Bereite dich zu leben!

 生まれ出たものは、死なねばならぬ!
 死んだものは、復活するのだ!
 恐れおののくのは止めよ!
 生きてゆくために、準備をせよ!

O Schmerz! Du Alldurchdringer!
Dir bin ich entrungen!
O Tod! Du Allbezwinger!
Nun bist du bezwungen!

 おお、すべてを貫き穿つ「苦痛」よ!
 私はお前から救い出されたのだ!
 おお、すべてを征服する「死」よ!
 今やお前が征服されたのだ!

Mit Flügeln, die ich mir errungen,
in heißem Liebesstreben
werd' ich entschweben
zum Licht, zu dem kein Aug' gedrungen.

 自ら勝ち取った翼をひろげ、
 愛を求める激しい想いのうちに
 私はふわりと飛び立つだろう。
 まだ誰も見たことのない光に向けて。

Mit Flügeln, die ich mir errungen,
werd' ich entschweben!
Sterben werd' ich, um zu leben!

 自ら勝ち取った翼をひろげ、
 私はふわりと飛び立つだろう。
 私は生きてゆくために、死ぬのだ!

Aufersteh'n, ja aufersteh'n, wirst du,
mein Herz, in einem Nu!
Was du geschlagen,
zu Gott wird es dich tragen!

 復活する、そう、復活するのだ。
 我が心よ、ほんの一瞬のうちに!
 お前が打ち負かしたものが
 神の御許(みもと)へとお前を運ぶだろう!


「死」に打ち勝った後に「復活」して得られる「生」とは…キリスト教的な本来の歌詞は「現世での個人の死→神の御許での永遠の生の獲得」というストーリーなのですが、マーラーの意図はそれだけじゃないんじゃないかな、とこういう時にふと思うのです。生きた人たちが声をひそめて一つにこの詩を歌いだすのは、これは個人の死ではなく、死んでしまったかのような社会を「私」として語らせた「復興」の歌なんじゃないかと、思えてなりません。そこに立たれる一人ひとりが「我が心よ」と語りかけられています。

地震で、津波で、火災で、いろんなものが失われてしまった今の状況が"mein Staub"、ここから「失ってはいない」「無駄ではなかった」と信じ、身の回りの「死」に打ち勝って、新たに生きていく力を少しでも多くの方が得られますように、心よりお祈りいたします。


*2011.3.20追記
何と、この歌詞、クロップシュトックの詩は第2連までで、それ以降はマーラーの改作とのこと!確かに定型にはまらないのでまたマーラーさんがカットしたのだとばっかり思っていたのですが、そもそもマーラーが新たに書いた非定型詩、ということのようです。最後の最後に第1連を踏襲して感動的なラストを結んでいるのも、マーラーによる創作だったとは、驚きです。
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# by cantotanto | 2011-03-15 01:41 | 合唱曲
安否連絡:人間は無事です!
職場の地震片付け一段落して、帰り道のcantotantoです。

職場では私を含めて人間は屋外に避難できて無事ですが、職場の自席にはでっかいガラスの破片が降ってまして、逃げてなければヤバかったかと。

クルマは大丈夫なので渋滞路をちんたら帰りつつ、自宅の無事を祈っています。

ダンナは都内で無事とのこと。ただし帰り手段がないので本日は留め置かれのようです。

以上、通信インフラが脆弱なので安否伝言板でした。
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# by cantotanto | 2011-03-11 18:15 | ごあいさつ
Climb everynight mountain … 睡眠時無呼吸話序章
2004年のブログスタートから晴れて1000本目のネタがカラダ故障系で申し訳ない感じですが。

タイトルは「毎晩山に登れ」…もちろんSound of Musicの「Climb every moutain すべての山に登れ」のパロディでございます。

簡易検査受けました話をmixi上でポツポツとつぶやいていたら「うちのダンナも心配で…!!!」話の食いつきがもの凄かったので、明日お泊り検査に行く前にこれまでの流れを語らせていただきます。


私は「睡眠時無呼吸症候群」の存在と、その「大いびき→止まる→苦しそうにうぐうぐ→更に大きないびきで呼吸再開」を傍で聴いてる時の怖さは若い頃から知っておりました。実家の父が廊下まで丸聞こえの大音量で家族に知らしめてくれてましたので。その後父は減量したらかなり無呼吸も軽減したので、幸いにして「放っておいたらこんなに大変」という状況は知らずに済んでました。

で、ワタクシ。
夜寝ると寝た気がしないどころか寝る前より疲れているのが普通、というのが常でついつい寝なくなっていたのですが、寝ようが寝まいが午前中に猛烈な眠気を感じることが多々あり、ダンナが「寝てるときによく呼吸が止まってるよ」と指摘してたことを合わせて主治医と産業医に伝えたら…
…「睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome,略してSAS)」の検査を受けて下さい!の即答と相成りました。

入口は耳鼻科でもよいようなのですが、近所にSAS専門の睡眠外来クリニックが最近開業したのを知っていたので、そちらを受診。
指先につけて血液の酸素飽和度(SpO2)を測るセンサーと、鼻元につけて気流を測るセンサーがセットになった簡易検査機を貸し出されて2晩分のデータを自宅で測定。

いやぁ、びっくりしました。
・ほぼ1晩中、いびきをかき通し。いびきが止まっているところは呼吸も停止中(ガクブル)
・呼吸はしょっちゅう止まってる訳ではないのですが、10~30分間にわたる無呼吸頻発タイムが時々発生。
・無呼吸の回数は睡眠時間でならすと20回/hour を下回るのですが…1回の長さが長い!
 30~40秒がザラ、120秒超えも1晩に何回もやって来ています(そんなロングトーン、保ったことないよ…)
・で、ロング無呼吸時には酸素飽和度(SpO2)が70%位にまで低下。これ、エベレスト位の高さでの酸素の薄さの模様。

…ってな訳で、一晩に何度も、世界最高峰無酸素登頂的なイベントが起きている模様です。
そりゃカラダに悪いですわ。

ちょっと教科書をかじり読んでみたら甲状腺機能低下とかで相当代謝が落ちてる人じゃないと持ちこたえられない低酸素具合のようです(一応1年位前の血液検査では甲状腺機能の異常はなかったのですが。腫れてる感じ、とは指摘されてまして)。

SASの治療に健康保険適用が効くかどうかは無呼吸(と低呼吸)の時間当たり回数(AHI)でカウントされるので、上記簡易検査だけでは即保険適用!とならない判定。
#回数じゃなくて延べ時間にしようよ…とちょっとだけ思う。

明日職場を定時抜けして睡眠外来に1泊検査に参ります。予約待ちの1ヶ月、そして結果説明までの2週間のあいだは何も改善しないのがつらいところです。
…こんだけ疲労と眠気が出てる人は、治療前に痩せろと言っても減量は非常に難しいとの話、体重測りながら納得しておりますもん。

さて、ダンナ曰くワタクシかなり前からいびき+無呼吸をやっていたようなのですが、
今になって思い返すと

・朝起きると夜より凝ってる首肩こり(10年以上前~)
・歯軋りがひどくて顎関節を痛める(約10年前~)
・職場ストレスが急増したのが引き金で突如高血圧+メンタルトラブル(約6年前~)
・食べても食べなくてもじわじわ単調増加する体重(orz)

あたりはSASとも関連深かったんじゃないかと疑わしく思えてきます。
#細かく挙げだしたらまだまだあるぞ

そして生物学的にも社会的にも生命に一番かかわるのが通勤時の運転の怖さ!
きっちり調べてきっちり治療して、もう長いこと味わってない「熟睡感」なるものを感じてみたいものです。


そういえば歌うときに

・本人は長く息を伸ばしたいのに、息が保たない気がしてついつい細切れブレスしちゃう
・お腹の支えをつい一気に使いがちになる
・ブレスはブワッと派手に吸ってしまう

のも、喘息のせいだけじゃなくてむしろ睡眠中のクセのせいなんじゃないかと疑ってみたり。
#いや、真偽のほどはわかりませんが。
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# by cantotanto | 2011-03-02 12:58 | カラダ故障日記
帰って来た贅沢な日常!
いろいろオーディオをいじった(ショップ頼み、見かけは地味)通勤グルマ(7年モノ)を昨年の夏にお釈迦にしてしまって以来、「数年間のつなぎ」のつもりで乗ってる中古車の純正オーディオで耐えて来たこと半年。
 遂に一念発起して以前お世話になったオーディオショップに前のクルマの装備の載せ替えをお願いして来ました。

[この半年間の環境]
前乗ってたのよりも年式が古いセダンの純正オーディオ。
ヘッドは2DIN使って「CD+カセットデッキ(!)+ラジオ」というレトロなヤツ。
FMトランスミッターは大嫌いなので、カセットデッキ入力なアダプタで練習録音掛けたりしてました。

古い車ですが、距離はあまり行ってなかったのでスピーカーもまだまだ鳴る。一応ツィーター付いてるし。
CDでクラ声楽モノを掛けてだんだん馴染んで来たし、定期購読のオペラのDVDも聴く機会するらほとんどなくて溜まる一方だったので、思い切って近所のショップに相談した次第。

で、改造手術(というほどのことは何も頼まなかった)後の環境がこちら。

[昨日お持ち帰りの環境]
スピーカー類は一切純正のまま、トランクに積んでた前車の部品を移植。
ただし、DVDヘッドだけは読み込み不良がひどくなっていたのと、新しい機種の方がiPod連携が良くなっているので現行機種(とはいえ5年位前にリリースのレトロ機種だ)に更新。
他、アルパインのプロセッサー、外部ミニアンプ4ch(前のDVDヘッドの付属品)、モニタ(これが一番新しい)とケーブル類一切合財は全部前車部品のお古をそのまま流用。

見積もりに調整料が記載されてないのでちと心配でしたが、きっちり調整し直されて帰ってきました。

うおおお、ジャズアレンジクリオラでKing's Singersの6人の立ち順がちゃんとわかるぞ!(オーディオファイルに言わせれば当たり前のことらしいが…)
そして受け取ってきたデアゴのDVDオペラコレクションの最新号、dtsディスクなオルフェオがいい音で鳴るぞ!

という訳で、ものすごく通勤が楽しくなりそうです。安全運転で大事に乗らなくては!

もっとも、この喜びよう、カーオーディオやさんで一晩借りた代車が全くのオーディオレスの新車(きっとこれから練習台になるのでしょう。ラジオすら聴けんかった)だったせいで寂しく運転していたせいも、たぶん、あります。
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# by cantotanto | 2011-02-23 12:59 | カーオーディオのこと
ドイツリートでコトバ遊び…シューマン:ミルテより「くるみの木」
来週日曜は地元合唱団のほうでの内輪音楽会。アンサンブルのお声をいっぱいかけていただいたのも嬉しいのですが(ちとオーバーワーク気味?(汗))、地味だけど一度ちゃんとやっておきたかったお気に入りリートを誠意暗譜中なのでお勉強がてらこちらにメモ。

「献呈 Widmung」漁りですっかり気に入ったシューマンのMyrtheの3曲目、「くるみの木 Nußbaum」を歌います。流れるような伴奏の上、ピアノと歌が掛けあいながら淡々と語るような曲なのですが、知らずに聴いててもおや、っと思う不思議な韻の使い方をしています。そして可愛い(少女趣味っぽい、とも言う)!
拙訳(ノリ優先の意訳ヴァージョン)と一緒にお送りします。
(歌詞はJulius Mosenによる)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

Es grünet ein Nußbaum vor dem Haus,
duftig,
luftig
breitet er blättrig die Äste aus.

 おうちの前にはくるみの木
 さわやかに、軽やかに
 葉の茂った枝を広げる

Viel liebliche Blüten stehen dran;
linde
Winde
kommen, sie herzlich zu umfahn.

 枝には可愛いお花がいっぱい
 やさしい風が吹いて来て
 お花を温かく包みこむ

Es flüstern je zwei zu zwei gepaart,
neigend,
beugend
zierlich zum Kusse die Häuptchen zart.

 お花は2つずつ対になって
 うつむいて、おじぎして
 頭を寄せ、キスするみたいにささやきあう

Sie flüstern von einem Mägdlein,
das dächte
die Nächte
und Tage lang, wußte ach! selber nicht was.

 お花はささやく、お嬢さんのこと
 夜ごと昼ごと想いにふけり 
 ああ、でも何を悩んでいるのかわかっていない娘のこと

Sie flüstern, wer mag verstehn so gar
leise
Weis(e)?
flüstern von Bräutgam und nächstem Jahr.

 お花はささやく -
 こんなかすかなおしゃべりを、誰が聴いてくれるのだろう?
 - やがて来る日々と、花婿さんのこと

Das Mägdlein horchet, es rauscht im Baum;
sehnend,
wähnend
sinkt es lächelnd in Schlaf und Traum.

 お嬢さんは木のざわめきに耳をすませ
 思いこがれて、想像をふくらませて
 微笑みつつ、眠りと夢へと落ちてゆく

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ん~、すごく可愛い!そして良くできた詩なのです(訳はまだまだ再考の余地あり…)。
赤と青とで書いたとおり、2(ないし3)音節の短い押韻がぱっと聴きにもわかる感じでしつこく書かれてます。この単語が第1連のように並列の形容詞や現在分詞で使われたり、時に第2連や第4連のように文法的に全然違う言葉できれいに韻を踏んでいたりと、なかなか面白く。

最初がのびのびとした木の描写で、同じメロディーを繰り返しながらだんだん繊細な、低音域の曲になって行くのでパーンと派手なところはないリートです。でも何とも愛らしい。Vivaミルテ!
#低声用を選んだのは失敗だったかなぁ、と思う低さ。でもこの音域を鳴らしたいのです…。

内輪の音楽会ではありますが、お客様歓迎ですので、冷やかしたい方どうぞお声かけください。
…北関東方面の辺鄙な立地のサロンですが。響きとピアノは良いですはい。


さて、くるみの木に花が咲く絵を観たことがなかったのですが、第2連の「可愛いお花がいっぱい」、第3連の「2つずつ対に」「うつむいて、おじぎして」という様子から、「さくらんぼの形に咲く桜のような花」を想像していたのですが…

…イメージを壊されたくない方は見ない方がいいかもw
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# by cantotanto | 2011-02-21 00:42 | 独唱&重唱曲
アキバ石○クラソフトの骨を拾いに行きました…
2月末の団内音楽会でなぜかアンサンブル3つ出ることになり、平日夜が練習詰めになってきたcantotantoです。あと「大勢女声合唱」と、自分のソロ歌いがあるんだけど果たして大丈夫か(特に体力的に)。

不謹慎なタイトルを付けてしまいましたが、先週たまたまアキバとお茶の水の「間」エリアに出張があり、帰りに円盤組合と石○とを天秤にかけて「ま、最近行ってないし覗いてみるか」と寄り道した秋葉原の石丸ソフト館が…
a0036057_1281480.jpg
こんなことになっていました!

思えばソフト3時代(考えてみればアキバの独立系家電屋さんが元気だった最後の時代)には「ここで探してもらって無ければ『無い』」との厚い信頼を寄せられていたクラシック売り場が、紆余曲折*を経て閉店セール中。

*:思えば
→ソフトワン引き揚げにより唯一のクラシック売り場に
→ソフト3を改装してクラ&ジャズ専門館に。売り場面積は3フロアに増えたはずだがむしろ寂しさが感じられる雰囲気に(そういや298石○のクラ売り場がなくなったのもこの頃?)
→クラ&ジャズ館閉店(今もシャッター締まってました…)、売り場はお向かいのソフト本店のワンフロアに移動(そういや298の石○電気街がなくなったのもこの頃?)
→そして今回「ソフト本店」閉店、ソフト全体が「本店」のワンフロアに押し込められる…という次第。
流石にクラシック部門はこれまでのような品揃えの豊富さマニアックさを維持できないだろうなぁ…と寂しく思う次第です。
#結局「大勢の人が聴くもの」は町の小さな店舗でも扱えるけど、マニアックなものはWebで検索して買え、というご時世に逆らえなくなった感じか。店頭で「おっ」と思う出逢いも楽しいのですけどねぇ…

年明けから閉店セール中、「骨を拾う」大量買いさんのおかげで棚は大分スカスカになって来ています。マニアな趣味を自称される方は早めのお訪ねがよいかもしれません。


で、自分の仕入れ報告。

しょっちゅう立ち寄れる訳ではないので、買うなら「10枚以上購入で50%OFF」のラインを狙おうと方針決定。
まずは買い物かご片手に「半額なら買ってもいいかも」というモノをポイポイと投入します(スクリーニング)。
うっかり枚数買っちゃいそうな宗教曲CD売り場はかごが重くて嫌になってきた頃に回りました。で、数えてみたらかごの中に30点近くある!(爆) いくら半額でもこんなに買えません。持って帰るの重いし。
という訳で精査に精査を重ねて、以下の15点に絞りました。

・シャインさんの「泉」と「Opella Nova」からの抜粋、Sagittariusというフランスのアンサンブルが2009年に録音したもの。後者は「モンテヴェルディにドイツ語をきれいにはめました!」といういい感じな2声・3声の曲が収録されていて感動です。「泉」も生き生きしてかつ精緻に合ってるアンサンブルで美しく。テオルボ入るとまたいいな~。

・リリングが普段のシュツットガルドの皆さんを振るヴェルレク(これも2009年録音)。いや、これ本気でいいです。大味にならないハモる歌い方で、子音の押し出しが美しい合唱…あ、やっぱりドイツっぽいのか。いや、ドイツ歌いっぽいって点も含めてカ○レでリファレンス録音にしていいと思います。

・BCJ20周年記念BOX、Bach & Beyond。何枚かは手持ちのCDと録音がダブるので購入をためらてったのですが、半額なら買いです。というかこれを半額にしたくて探検が始まったのですはい。

・シュトラウベさんと彼がいつも振ってるNorddeutscher Figuralchorのクリスマス曲集(2010年) SACD売り場にあったのでしばらく見つけられませんでしたが(Hybrid diskです)、見つけたら買わねば!な演奏者ですとも。

・ヨハネス・カントーレスの「ホミリウスのヨハネ受難曲」の日本初演ライブCD。まさか新品屋さんで出会うとは思わなかったのでお買い上げ。半額でごめんなさい。

・ラターさんとケンブリッジシンガーズの新盤、2010年6月録音。「ラッター 宗教作品集」という日本語帯が付いていますが、原題が「A Song in Season」なので切り口は教会の年間行事ですね。

・King's Singersが歌う、バッハ「クリスマス・オラトリオ」のジャズバージョン。たぶんポチりで買おうとして寝かせてたはずなので、ダブってはいないはず…と信じたい…

・The Sixteenの宗教曲集。目玉はCD(正確にはSACDとのHybrid)のタイトルにもなってるタリスの「Spem in alium」…物理的に16人じゃ歌えないはずの40声曲なのですが、果たしてどうなってるのか。

・メゾソプラノのLilli Paasikiviさんが歌う、「Alma Mahler Complete Songs」!! グスタフよりいいリート書きとの評もあるアルマさんの、「全曲」というタイトルに魅かれまくりました。

・ドイツ修道士らによるグレゴリオ聖歌集、CD2枚分に写真集(?)が付いた企画もの。

ここから先日の「やすおん」の余韻で語りモノCD。元からコレクションナンバーなだけですが。
・動物の謝肉祭その1。Naxosの、マ・メール・ロワと魔法使いの弟子とのカップリング。これ全曲ジョニー・モーリスさんの語り付きなのかしらん。

・動物の謝肉祭その2。ピーターと狼、青少年のための管弦楽入門との定番カップリング。語り「中山千夏と子供たち」ってのが気になりました。日本語物は見つけた時に買わないとすぐなくなるので。もっともこれは昔の録音(1975/77年)の再販なのですが。あ、謝肉祭は語りなしです。

・リヒャルト・シュトラウスのピアノ+語り曲、「Eoch Arden」、Patrick Stewart(ピカード艦長の方)の語りで。演奏時間50分超なので実演の機会はまずないでしょうが、ピカード艦長の「ピーターと狼」の語りがとてもわかりやすかったので、勉強半分コレクタ魂半分で。

以下2点はDVDで
・ゲルギエフが2008年に振ったブラームスの「ドイツ・レクイエム」 そういやこの曲歌ったことない…

・ブリテンがピアノを弾き、ピアーズがテノールで歌う「冬の旅」全曲。公認の仲であるところのラブラブカップルによる、ある意味実写版BL、です(??) 彼らの演奏が映像で観られるとは思わなかった!

以上15点を2.3Kで購入。大BOX入りでこの額とは正直思ってませんでした。
ありがとう石○クラ売り場!君のことは忘れないっ(涙)
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# by cantotanto | 2011-02-10 02:36 | 仕入れもろもろ
奇跡の快演(or 怪演)、フェルディナンド顛末。
御挨拶が遅くなりました。先週の土曜日、1/22は「やすおん」本番でした。出演者の皆様、聴衆の皆様、本当にお疲れ様でした。
「One of the members of シャイン会」としてしか関わっていなかった(その中で「酒をよく飲むヤツ(by Hでさん)」という認識はされていたようです…)「やすおん」で、あんなにハデなデビューを飾らせていただいたのは自分でもびっくりでした。共演者のけんいちろうさん、主催者のまみーごさんご夫妻、スペイン一色な衣装を快くお貸しくださったまりぴーさん、いろいろお手伝いいただきましたか~のさんはじめシャイン会の方々、本当にありがとうございました。
例によって長文ですが、語りを演らせていただいた「雄牛のフェルディナンド」の曲についてと当日の演奏について、つれづれ語らせていただきます。

演奏したのはコレ↓に収録の Alan Ridout作曲、フェルディナンド(Ferdinand the Bull)。
というか、このCD以外の音源を知りません(苦笑。ようつべにはライブモノが少し、ありました)

サン=サーンス:動物の謝肉祭

アルゲリッチ(マルタ) / ユニバーサル ミュージック クラシック


このCD、動物の謝肉祭は当然合奏(ちなみにこのCDの「ピアニスト」の壊れっぷりは秀逸www)ですが、その他に入っているのが
・ヴァイオリン+語りの「フェルディナンド」(英語)
・ピアノ+語りの「動物の祈り」(ドイツ語)
・コントラバス(英語表記でDouble Bass)+語りの「小さな寂しい音」(英語)
という楽しい語り小品の数々。穴があくほど(CDなのであきませんが)聴きこんで、リスニングの教材よろしくだんだん話を理解していった楽しいお話たちです。フェルディナンド(というかふぇるじなんどというか)のお話についてはこちらでご紹介(終演後記事。楽譜カバー必見!?)させていただいております。

特にフェルディナンドはコンパクトでかわいいお話、ヴァイオリン1本で和音を奏でるとこんなに闘牛チックでワイルドな音が鳴るのか!という驚き、そして語りの見せ場の多彩さを気に入って(まぁ、叫んだり、とかですわ)憧れてはいたのですが…このCDを聴きこんでから10年間位、「語り付き音楽を10分かけて演らせてくれる場」も、それ以前に必須要件な「こんなワイルドな曲をソロで弾く腕と度胸のあるヴァイオリン弾き」にも心当たりがないまま、まぁこのジャンルを実演できる機会はないものだと思っておりました。

…が、「やすおん」の常連さんのお顔をだんだん覚えてきた頃に、ふとしたところからフェルディナンドの楽譜が出版されていて日本から取り寄せ可能(今は定番?)(さらに役者さんによる語りの動画(激重)の紹介記事まで追加されてる!)ってことに気付いてしまったのが一昨年だったか。譜面を見て火が点きなおしまして…これはこの人しかいない!と「やすおん一華のあるヴァイオリニスト」けんいちろうさんに話を振って一本釣り@昨年の冬やすおん打ち上げ2軒目(しかもその日譜面忘れてきて…ある意味サギです) ごろごろと巻き込んでしまった次第です。だって、真っ青なシャツとか、真っ白な上下とかで東京建物八重洲ホールの後ろのドアから登場した「だけ」で拍手とウケが取れ、そのまま1人でピアノでもヴァイオリンでもハデな曲を弾ける上にコミカルなアンサンブルもどんと来いな人材、そうそういらっしゃいません。

昨年夏前後は双方とも忙しかったので、温めて温めて、結局忙しいけど冬やすおんに強行した、の次第です。あんまり合わせの時間も取れなかったのですが、こんな感じで準備しました。

・年末は音合わせできず、譜面(まだ和訳書いてないよ)を開きながら「打ち合わせ」のみ。私から楽譜に絡むあらすじの紹介、けんいちろうさんから「ここ難しいけど必要?」の確認。その結果わかったことが、「ストーリー上華やかにしたいところはシロート目には豪華だけど割と素直な和音(なことも)」「何かヘンなことが起きている時は譜面上きれいでもすんごく弾きにくい音が書いてある(例:普段はおとなしいフェルディナンドがハチに刺されて大暴れ、おとなしいフェルディナンド(普段のテーマは単旋律)が闘牛場に入場する時のなんだか不器用な二重音のフレーズ。うたや合奏ではなんてことないハモりが、1人弾きだと難しい…)。 シーン別に要る音切っていい音を確認し、10分に収めるため(目分量)にカットしてもいい箇所のあたりを付け、練習(と和訳)がお正月の宿題となりました。

・やすおんのスペイン親善大使、MARIさんことまりぴーさんにご相談し、お手持ちのスペイン衣装&小道具の華やかなラインナップをお借りできることに…ありがとうございました! いやぁ、衣装でこんなにウケを取れることになるとは思ってませんでした、この時点では。

・年明けに2回ほど練習を。しゃべりとヴァイオリンの掛け合い具合など練習。お会いするたびにけんいちろうさんの演奏が流麗になって行って凄い!と感服。いやぁ、難しいモノを振ってしまったと申し訳なく思いつつ、絡めながら語るのは結構楽しく。噛んでも大丈夫な単語とストーリー上絶対に噛んじゃいけない単語があることを知る。練習後はお茶しながら打ち合わせ…てるはずが雑談のほうが多かった気が。絵本らしいストーリー、訳語にはずいぶんアドバイスもいただきました。

・狭いスタジオなら声は出るけどホールで足りる声量かさっぱりわからず。とはいえ大の大人が「歌ってる」ことは許容されても「大声でしゃべっている」状況が許される広い場所が意外とない!(例:うちのリビングや吹き抜け…響きはいいのに…)尋常ではない特殊な発声(?)はイナカな職場の屋外でこっそり練習。mixiのつぶやきで「人気のない駐車場で叫んでみたら遠くに人がいて慌ててクルマに逃げ込んだ」「牛を飼ってる現場で牛風にしゃべる練習をした。木を隠すなら森っす」など怪しい発言をしてたのがコレでした。

・で、最後の合わせをやすおん6日前の日曜日に終わらせたら…翌日から職場でのど風邪が大流行!自分も扁桃腺腫れて痛い…!!という状態に。早めに通院して強力な薬バックアップ体制を整え、土曜日まで声を出さずにひたすらイメージトレーニングでした。しゃべり、仕上げて置いてよかったです本当に。前日夜に急に花粉症らしき症状で鼻とのどが腫れだしてかなりヤバかったのですが、当日朝のステロイド投入でしのぐというギリギリっぷり。

・1年ぶりの東京建物八重洲ホール、「歩いて入場」にもムリのないコンパクトな奥行き、そして無理してしゃべらなくてもよく響くことを確認。練習してきた「大き目しゃべり」だと「むしろヴァイオリンよりうるさい」とのコメントをいただき、安心してのどを温存することに。叫び声も絹は裂けないけど木綿を裂く程度には出そうです…

a0036057_23141743.jpgで、本番。嬉し恥ずかしこんな衣装で登場してしまいました(撮影 by ゆきぴさん@控室)

・主催者まみさんに団体名紹介をいただいてから、けんいちろうさんだけおもむろにヴァイオリンを弾きながら入場…が予想に反して(?)真面目に聴き入られている。さてこの空気はどうなるんだ、と思いつつ前奏曲の途中から入ったら…普段着ない衣装だけでなぜウケる(苦笑) 美味しいところ持ってっちゃってすみません。

・お話を始めると、皆さんよーく聴いてくださってるのがわかってとても嬉しく。お客様に出演者のお子さまが1人いらして反応をどきどきしながら見てたのですがちゃんと食いついていてくれたし、おかしなことが出てきたらちゃんと誰かからくすくす笑いが入る。してやったりでございます。
ドイツリートの「魔王」じゃありませんが、声色遣いで役を読み分けることにとらわれちゃ本来じゃない、とは知りつつ、どうしてもやりたい声色はしっかり演らせていただきました。…牛のお母さんの牛語トーク(爆)

・私が使った声色は「叫び声」を入れても片手で収まるはずですが、ヴァイオリンの技の多彩なこと!VとかΠとかが所どころ指定してあるのまでは何となく理解可能でしたが、++++とかooooとか同じ高さの音符2つ重ねとか、sul G やら sul tasto やらの記載が「あんなことしてあんな音になる」とはけんいちろうさんの解説聞くまで想像だにしてませんでした。観客の方が彼の手元まで注目できたか、状況的に(…って私の悪目立ちか)心配です。

・お客様に感想をきいて再認識したことですが、録音を聴いていると語りとヴァイオリンが交互に動くところ(フェルディナンドのテーマとか)の絡み方が実に心地よい。私の語りは基本前のめりなので(をい)、これはやはりヴァイオリン奏者のセンスの良さに救われているのではないかと。

・ハチに刺されて叫ぶまでは結構必死だったんですが、闘牛場入場あたりまで来たときに「あれ、もうここまで来ちゃった。こんなに楽しいステージは終わって欲しくないよ…」とふと思ってしまいました。歌の舞台ではもうなかなか感じることはない感覚なのですが、ここまで本番を楽しめるのは本当に幸せなことです。

・時間枠で申し込み、10分上限のこの舞台、録音からCDを作るときに1曲1ステージだから10分過ぎちゃったらどうしてもバレます。もし超過ペナルティが出てもそれは自分が受けましょうと開き直って特に巻かずに本番をしゃべりきったら、音の出だしから終わりまで9分50秒であったことが録音から判明。あまりのぴったりさ加減に思わず脱力しました。こんなところまで奇跡的な仕上がりに。

完全無事故、ではないけど、観客のみなさまに「語り付き音楽」のお話が伝わること、への影響はなかったと思っているので(訳文は考えるべきだったか…(反省))、いやはや、素晴らしい舞台に立たせていただきました。あのフェルディナンドが良くできていたとしたら、「作品のチカラ30%、楽器奏者の演奏力30%、勝手知ったハコの鳴りとお客様の一体感30%」のおかげだと本気で思っております。自分は好きにしゃべり倒しただけだしなー。


1時間半後のシャイン会では衣装と一緒に気持ちも切り換えて歌っていたはずが、「牛の人が歌ってると思うとおかしくて」という感想をいただいちゃった次第。うわぁぁ、ごめんなさいです。いつものシャインさん(今回はプチ金管っぽい16番)に加えて歌ったメンデルスゾーンのTrauergesangは歌詞から曲からとにかくロマン派っぽい曲で、我々としてはとても新鮮でございました。

今回のやすおんで残念だったのは、自分の仕込み(着替え等々)で引っ込んでる時間が長く、せっかくなのに聴けなかった演奏がいっぱいあること。あんまり演出に凝ってはいけませんねぇ。

本番後の高揚感のままにお酒を美味しく飲んだら(そしてZOOの皆さまと「冬の稲妻」なども歌ったら←)結局あの日をピークにまたのどの調子を崩しまして、結局深ーい咳とカスカスののどの風邪をまだ引きずってしまっております。

曲のネタストックがいっぱいある訳ではないですが、またいつかこんな場で語ることができたら幸せだなぁと思う次第です。あ、でもメインはうたのほうで参りますよ。
超長文、お付き合いいただきましてありがとうございました♪
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# by cantotanto | 2011-01-28 00:52 | 語り系&冗談クラシック
フェルディナンドは、こんな話でした。
<やすおんでご一緒した皆さま(特にヴァイオリンのけんいちろうさんとシャイン会の皆さん)、お疲れ様でした~。ご挨拶遅れて申し訳ありません。本番御礼記事より先に、前談だけ先にリリースです。>

先の生地でネタバレを避けながら宣伝した「やすおん」でのFerdinand the Bull(拙訳日本語版)、無事に終演しましたので曲解説を取混ぜながらレポートを…と思ったらあまりの長さに曲解説を分けました(大苦笑)

原作はこちら(1936年初版とのこと)、

The Story of Ferdinand (Picture Puffins)

Munro Leaf / Puffin



日本では岩波書店からこんなタイトルで出ています。(1954年出版、去年買ったら第56刷でした!)

はなのすきなうし (岩波の子どもの本 (11))

マンロー・リーフ / 岩波書店



つまり、お話の主人公のFerdinand君は雄牛(Bull)で、「はなのすき」な牛らしいことがこのタイトルsだけでネタバレです。(ちなみに日本の絵本では「ふぇるじなんど」と表記されています)
牛が主人公であることは大前提ですが、未読の聴衆に「はながすき」なことが主題だとバラしたくはなかったので、タイトルは「雄牛のフェルディナンド」としてプログラムに載せていただいた次第です。闘牛となるべく育成される牛たちが登場する、スペイン風味たっぷりの作品ですが、原作はアメリカで発表された英語の作品です。お話の始めは"Once upon a time in Spain,"ってな具合です。

<もうネタバレしてもいいつもりで、ざっくりあらすじ>
闘牛を目指す活発な子牛たちの中で、ひとり木陰に座ってお花のにおいをかぐのが好きなフェルディナンド。お母さん(牛)も「どうして他の子みたいに(*1)遊ばないの?」と心配しますが、「お花のにおいをかぐ方が好き」と言うフェルディナンドを好きなようにさせてくれました。
大きく立派な雄牛になってもお花のにおいをかぐのが好きなフェルディナンド。闘牛になりたい他の牛たちから離れていつもの木陰に行こうとしてたのに、ひょんなハプニング(*2)がもとでスカウトの目に留まり、マドリッドの闘牛場でマタドールと対戦する羽目に。
堂々たる闘牛士団の入場(*3)の後、闘牛場に現れた「素」のフェルディナンドは、見物のご婦人方の髪飾りの花(*4)を見つけて座り込み、じっとお花のにおいをかいでいました。皆がけしかけてもフェルディナンドは闘わず(*5)、闘牛の興業は台無し、お里の牧場に帰されたフェルディナンドはお気に入りの木陰で今もお花のにおいをかいで幸せです(*6)

今回演ったのは、原作から少し描写の記載が減らされた(たとえば、闘牛士の構えている武器の種類と目的とか削除)Ridoutの楽譜記載の文から、日本語のテンポが良くなるように少しいじって、いかにも童話らしく訳した拙訳版。何せフェルディナンドのテーマはしゃべりと交互に動く(もちろんVn奏者さまがしゃべりを待って下さる訳ですが)のであんまりだらだらしゃべっても興ざめです。

で、拙訳での反省点と遊びポイントと、この童話の趣旨について、ちょっと注解説。

*1:ここは後で反省。お母さんは「うちの子はよその子と違う」ことよりも「うちの子は仲間はずれでさみしいんじゃないか」と心配していた色が強いので(だから安心したらものわかりよく好きなことさせてくれた)、「他の子と一緒に」が正解でした…。シンプルに削る時の訳語選択って難しいorz

*2:これ、「スカウトの人が来ている時にハチに刺されて暴れる」なのですが、Ridoutの楽譜では「ハチが刺した」とは一言も言ってません。「フェルディナンドが座ろうとした所にハチがいた。もしも皆さんがハチで、牛のお尻が降りてきたらどうしますか?(原作通り)」→ヴァイオリンがピャッと鋭く和音を弾く→語りが叫ぶ!だったのですが、状況、わかりましたですよね…?(今さら心配)

*3:ここでは、原作では多くの階級の闘牛士と多くの武器が出て来て、「これを使って牛を怒らせます」「これで牛にとどめを刺します」という記述がしつこくあります。子供のころにこの話読んだ/アニメ等を観た、という方には牛がブスブス刺されるシーンのイメージが残ってる方が結構いらして、「フェルディナンドが死んじゃう話」と記憶していたという話も聞きました。少なくとも日本の子供には刺激が強そうです。Ridoutの曲では”Banderilleros""Picadores""Matador"という階級名だけが書いてあるので頭をしばしひねった後、メジャーそうな「マタドール」だけ残して後は勝手に横綱土俵入り風にしてしまいましたw

*4:この伏線のために、ショートヘアなのに強引に大きな花の髪飾りを付けて出たという訳で。

*5:「闘牛なのに闘わない」牛は原作&曲ではコミカルかつ牧歌的にさらっと描かれていますが、ここで「牛をあおる」ために赤マント以外の武器の数々が使われます。映像作品とかで怖い印象が残るのはこの辺かしらん。原作発表当時スペインで内戦が起きていたことへの反戦的メッセージの意味があるのでは、と勘ぐられたりもしていたそうですが、作者は「いい趣味」「個性」をのばすこともいいことだよ、と言ってるだけだと発言したこともあったとか。…反戦にしても、「いい趣味もいいじゃん」にしても、これが太平洋戦争よりも前のアメリカでふつうに出版され、読まれていたといのはある意味驚愕でした(もちろん日本で出版されたのは戦後です)。

*6:ここは原作に倣って、「幸せです!」と現在形で終わらせました。「昔々」で始まっているから、お話の時制としてはあれっ、という変化なのですが。日本語の絵本では「座っています…幸せでした。」が採られています。闘牛で使い物にならなかった牛にハッピーエンドがあり得ない(使い物になった牛にもありえない)のは職業柄重々承知ではありますが(そして雄牛がいっぱいいる牧場は超キケンだってことも想像しちゃいますが)、
ここは童話として、フェルディナンドが幸せで本当に良かったな、と思いながら語らせていただきました。

曲の筋でこんなに語れてしまった(汗)
この記事冒頭の絵本の表紙のイメージで、「フェルディナンド2段変形楽譜カバー」を前日夜なべで作ってしまいました。こんなのです↓
a0036057_2382797.jpgお話前半で使用した、「子牛のシルエット」な楽譜カバー。背景はこの記事冒頭の絵本のイメージで、花柄の赤い布を貼りました。子牛の背中に黒マジックテープが貼ってありまして…

a0036057_2403100.jpgで、「何年か経ってフェルディナンドは大きくて立派な牛に…と言いながら「雄牛のシルエット」を貼りつけるとこんな感じに。
リアル観客の方の「わかる人にはわかった」ようでしたので一安心でした。
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# by cantotanto | 2011-01-26 02:45 | 語り系&冗談クラシック