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ブラームスのネーニエを語ってみるよ。
本日は東京で練習2つハシゴ。
しかも夜の便で帰国するダンナ(今回は趣味で短期)を迎えに成田に行くんで移動はすべてクルマ。
流石に疲れました。

本日の2つめの方の練習は大学のOB合唱団。
今日がBrahmsのネーニエ(Nänie、哀悼歌とも。)の初回練習でした。
学生の時に使っていた楽譜の書き込みを見てたら、当時いろいろ調べたのを思い出したので、メモ代わりにここにウンチクを残しておきます。


音楽的な内容はさておいて(何もここまで複雑にせんでも、というくらい「ロマンティック」な美しい曲です)、歌詞の内容について語りましょう。

この曲、「美しいものもまた、死なねばならぬ(Auch das Schöne muß sterben)」という普遍的なテーマのもとに、ギリシャ/ローマ神話の有名エピソードの例が並べられているのですが、結構日本人になじみがないものもあるので、ごそっと解説。というか、ぶっちゃけ雑談を。
(名前はギリシャ名/ローマ名、母音の長短、実は人違い等確認せずにとりあえずアップして後で整理することにします。すみません)

・ 「一度だけ、愛が冥界の王(ハデス)の心を和らげたが、贈り物は結局呼び戻された」(有名度3)
オルフェウスとエウリディーチェの話ですね。死んだ妻を連れ帰しに生きたまま冥界に降りたオルフェウスが、地上に戻る寸前に、言いつけに背いて妻を振り返ってしまったために一旦は返してもらった妻と永遠に訣別することになった、というお話です(そっくりな話は日本にもあったような気もします)。
オルフェウスがハデスを説得できたのは愛というより音楽(竪琴)の力だったような気もしないでもないですが。
#ハデス自身の「愛」の話としてプロセルピナ(豊穣の女神デメテルの娘でハデスの后。春~秋は地上に、冬は冥界にいることになってます)の話とも取れないかな、とも思いますが、彼女の呼び戻しは毎年繰り返されてますね。

・「アフロディーテも猪が若者を襲った傷をいやせない」(有名度1)
愛と美を司る女神のくせに息子エロース(クピードとも。キュービッドのことですね)の矢をうっかり刺しちゃったお陰で人間の美少年アドニスにベタぼれになったアフロディーテのお話。女神様はアドニスに「あんたは超イケメンやからガラでもないアウトドアの危険なスポーツはやめといて」と言ってたにもかかわらず、結局彼は狩りに出掛けて大猪に襲われ、きゃしゃな身体に大怪我を負い、死んでしまった、という悲劇です。彼が流した血から、赤い花のアネモネが作られたことになっています。
実はこの猪、アフロディーテのダンナの軍神マルスの差し金、とか、アドニスの養い親がチクって、とか、ドロドロした話がオマケで付いてくるようですが、この曲の甘ぁい旋律にはそこまでの配慮は無用かもしれません。

・「スケイア門そばで倒れた英雄の死を、不死の母親が嘆く」(有名度2)
英雄の名はアキレウス、えっと、脚の「アキレス腱」の名前になってるアキレスさんです。
母親のテティスは海の神ネレウスの娘な女神でして、歌詞中「ネレウスの全ての娘とともに海からのぼり」とあるのは「親戚一同里から出てきて」とほぼ同義でしょう。ちなみに「ネレウスの娘たち(ネレイデス)」は美人揃いのようです。
テティスは全能神ゼウスに(色)目を付けられていたのですが、「彼女は『父よりも偉大な息子』を産む」との予言を受けていたので、常にクーデターを恐れるゼウスは彼女をあきらめ、人間に嫁がせます(それなら、子供が優れていてもたかが知れてて全能神としては安心)。そのお相手がテッサリア王である英雄ペレウスです。確かに英雄としての偉大さ、文学的なメジャー度では息子のほうが完全に父より上、でしょう。
息子アキレウスは人間として生まれたので、不死身ではありませんでした。そこで不死の女神である母ちゃんテティスが彼を不死にすべく両足首をつかんでひっくり返して…と何かしようとしてた時に、父ちゃんが見つけてびっくりしたから(そりゃ、虐待に見えるわよね)とか、足首つかんでた所だけ効果が及ばずとか諸説ありますが、とにかく彼は踵(カカト)だけ不死じゃない英雄になるわけです。
彼の「トロイア戦争に参戦すれば、死ぬ」運命が見えていたので、母ちゃんはあの手この手を尽くして(女装させるとかw)彼を戦争に行かなくて済むように画策するのですが、結局「アキレウスがいないと終わらない」運命を持つ戦争はダラダラと10年近く続き、キーパーソンとして駆り出された彼は踵を射られて運命を全うします。
過保護ママのハシリのような彼女、そりゃ嘆きようも相当なものでしょう。


いかがでしょうか。
実は配布資料のうち、なぜか全訳だけ手元にあって逐語訳&解説の紙が見当たらないので、実は「今更何言ってるんだか」なのかもしれないけれど(すみません)。

「有名度」は日本人認知度を勝手に推察してみましたが、実際ギリシャ神話ってどの位日本人に浸透しているのかしらん。
#小学生の時に図書館の「子供向けギリシャ神話全集」にはまったことがあるので、「普通」がわからないのが正直なところ。ギリシャ語の母音の長短を正確に書こうとした、いい絵本だったなぁ…(何か基準が違う気も)。
#デーメーテール、とか、ヘーパーイストスとか、長い長い。

あ、そうそう。ここで出て来た人名(or神名)等をキーワードにググれば、もっとちゃんとした神話語りもいっぱい読めますよ。


#050920追記: 結局ここの存在をリアルご一緒の皆様にご案内しちゃいました。
感想・要望・罵声等々、コメントお待ちしております。
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by cantotanto | 2005-07-11 01:01 | 外国語曲のことばのこと