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ドイツリートでコトバ遊び…シューマン:ミルテより「くるみの木」
来週日曜は地元合唱団のほうでの内輪音楽会。アンサンブルのお声をいっぱいかけていただいたのも嬉しいのですが(ちとオーバーワーク気味?(汗))、地味だけど一度ちゃんとやっておきたかったお気に入りリートを誠意暗譜中なのでお勉強がてらこちらにメモ。

「献呈 Widmung」漁りですっかり気に入ったシューマンのMyrtheの3曲目、「くるみの木 Nußbaum」を歌います。流れるような伴奏の上、ピアノと歌が掛けあいながら淡々と語るような曲なのですが、知らずに聴いててもおや、っと思う不思議な韻の使い方をしています。そして可愛い(少女趣味っぽい、とも言う)!
拙訳(ノリ優先の意訳ヴァージョン)と一緒にお送りします。
(歌詞はJulius Mosenによる)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

Es grünet ein Nußbaum vor dem Haus,
duftig,
luftig
breitet er blättrig die Äste aus.

 おうちの前にはくるみの木
 さわやかに、軽やかに
 葉の茂った枝を広げる

Viel liebliche Blüten stehen dran;
linde
Winde
kommen, sie herzlich zu umfahn.

 枝には可愛いお花がいっぱい
 やさしい風が吹いて来て
 お花を温かく包みこむ

Es flüstern je zwei zu zwei gepaart,
neigend,
beugend
zierlich zum Kusse die Häuptchen zart.

 お花は2つずつ対になって
 うつむいて、おじぎして
 頭を寄せ、キスするみたいにささやきあう

Sie flüstern von einem Mägdlein,
das dächte
die Nächte
und Tage lang, wußte ach! selber nicht was.

 お花はささやく、お嬢さんのこと
 夜ごと昼ごと想いにふけり 
 ああ、でも何を悩んでいるのかわかっていない娘のこと

Sie flüstern, wer mag verstehn so gar
leise
Weis(e)?
flüstern von Bräutgam und nächstem Jahr.

 お花はささやく -
 こんなかすかなおしゃべりを、誰が聴いてくれるのだろう?
 - やがて来る日々と、花婿さんのこと

Das Mägdlein horchet, es rauscht im Baum;
sehnend,
wähnend
sinkt es lächelnd in Schlaf und Traum.

 お嬢さんは木のざわめきに耳をすませ
 思いこがれて、想像をふくらませて
 微笑みつつ、眠りと夢へと落ちてゆく

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ん~、すごく可愛い!そして良くできた詩なのです(訳はまだまだ再考の余地あり…)。
赤と青とで書いたとおり、2(ないし3)音節の短い押韻がぱっと聴きにもわかる感じでしつこく書かれてます。この単語が第1連のように並列の形容詞や現在分詞で使われたり、時に第2連や第4連のように文法的に全然違う言葉できれいに韻を踏んでいたりと、なかなか面白く。

最初がのびのびとした木の描写で、同じメロディーを繰り返しながらだんだん繊細な、低音域の曲になって行くのでパーンと派手なところはないリートです。でも何とも愛らしい。Vivaミルテ!
#低声用を選んだのは失敗だったかなぁ、と思う低さ。でもこの音域を鳴らしたいのです…。

内輪の音楽会ではありますが、お客様歓迎ですので、冷やかしたい方どうぞお声かけください。
…北関東方面の辺鄙な立地のサロンですが。響きとピアノは良いですはい。


さて、くるみの木に花が咲く絵を観たことがなかったのですが、第2連の「可愛いお花がいっぱい」、第3連の「2つずつ対に」「うつむいて、おじぎして」という様子から、「さくらんぼの形に咲く桜のような花」を想像していたのですが…





Google先生の画像検索で知ってしまいました。

くるみの木は雄花と雌花がわかれてるんだそうで、

ドイツリートでコトバ遊び…シューマン:ミルテより「くるみの木」_a0036057_0351192.jpgこれが雄花。まぁおじぎしてるような気もするけど、頭をよせたりキスしたりする雰囲気…ないw


じゃあ、気を取り直して、雌花。
ドイツリートでコトバ遊び…シューマン:ミルテより「くるみの木」_a0036057_0372363.jpg…あれっ、うつむいたりおじぎしたりする謙虚さすら、すでに、ないですwww


そもそも、これがいっぱい咲いてると、すでに"lieblich"なのかどうかが怪しいんですけど…。
本当にモーゼンさんとシューマンさんが、くるみの木を知ってて書いたのか、怪しい気がしてきました。

…えっと、とりあえずさくらんぼっぽい花に脳内変換して歌うことにします(爆)
by cantotanto | 2011-02-21 00:42 | 独唱&重唱曲
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