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神の時はベストタイミング♪のはずも、怖いこと…
いよいよ本番(1コ目)が明日に迫りました。ひょえー。
いや、本番は日常茶飯事とまで行かなくても通常年中行事なのですが、心はともかく荷物の準備とかまだ出来ていないデス(苦笑)
#明日は…いつもの会場でいつもの楽屋だから…荷物はいつもどおり持って行っていいんだな…(伏線)

演奏会のサブタイトルは「スペインとドイツの魂の歌」ですが、真ん中を一本貫いているのは「喪失(死を含む)と救い」かと思っております。(全くの私見)

前半はビクトリアのエレミヤ哀歌(聖木曜日)+もう1曲。お手元に聖書がある方は「哀歌」の第1章だけ(全曲、出典はココ)お読みいただけると入り込めるかも。
エレミヤが預言したエルサレムの没落の実現、具体的には新バビロニアに征服されて「宝物は簒奪」「神殿は破壊」「エルサレムの民はバビロンに強制移住(→で「バビロン川のほとりで故郷を思って泣く、異国で主の歌を歌えようか」って話につながる訳ですね、これは別の曲の話ですが)」という悲惨な目に遭った都エルサレムの姿を擬人化して歌い上げます。…って入りがF-Durで美しいのはなぜっ、という不思議な曲です。

後半はバッハの葬式曲2曲(失礼)。その前にバッハの少し前の時代のドイツのヴィオラ・ダ・ガンバソナタの一部なぞも演奏されます。

バッハの1曲目はモテットの4番、「恐れるな、私はあなたのそばにいる」というラブラブな(解説はコチラ)Fürchte dich nicht, ich bin bei dir, BWV228です。神→人の合唱、人→神のコラールをつなぐキーセンテンスは"Du bist mein"「あなたは私のもの」という宣言、って音楽上あんまり強調されてないんですけどね。それよりも"ich habe dich erlöset"「私は(すでに)あなたを救い出した」というセンテンスが「神」側の合唱で執拗に繰り返されます。öのメリスマ、あんまり好きじゃない…(って本番直前に言わないようにっ)

で、もう1曲がカンタータの106番、「神の時は最上の時」。最上の時って何やねん、と言うと、長い器楽曲の後の最初の合唱ではっきり言います。「私達は神が望まれる間生き続け、神が望まれる時に死ぬのです」…という訳で、「神に召される時は神が決められたベストタイミングなのですよ」という、葬儀時に遺族をもポジティブにプッシュする、わかりやすいお説教の曲です。器楽が通常の通奏低音(と言うと低弦とオルガン(かチェンバロ)、というのが古楽の定番)に加えてリコーダーとヴィオラ・ダ・ガンバが2本ずつ、というちょっと変わった編成の曲です。このリコーダーの響きがまた天上的な明るい響きなのですよ…。
旧約聖書の引用を中心とする「人は死なねばならぬ」という数々の脅し(?)に対抗して、新約聖書の最後の最後、「どうぞ(Ja)、イエスよ、来てください」という直接的な救いの要望。
そしてアルトの「あなたの手に我が魂を委ねます」というアリアから、「安らかな死」のコラールへのめくるめく展開。(この展開の中心でイエスが十字架上で一緒に処刑される「善い盗賊」に対して言った「今日、あなたは私と共に楽園にいるだろう」という言葉がドラマティックなバスで歌われます。泣ける所…のはずですよね、Kさんっ)
ここで、救いの象徴として最初に現れる言葉がアルトソロ中の"du hast mich erlöset" 「あなたは私を救い出して下さった」という一文。そう、モテット4番の下3声の神の声と、見事に呼応している訳です。センセイ、ここを考えてのご選曲、ですよね?

erlösenは通常聖書等では「贖う(あがなう)」と訳されるのが通例(あ、プログラムもそう書きました)ですが、普段こういう表現に現代人にはピンとこない言葉の一つかと思います。「贖」は現代字だと「購」。買う、買い戻す、という意味です。
人身売買が存在した時代、奴隷の身分の人間をお金を払って「買い戻し」、自由の身にしてくれた、という行為が「贖い」です。自分でも忘れていたのですが、都心駅無料配布マンガ週刊誌ガンボで連載中の某オタク哲学マンガでプラトンが「友人に買い戻してもらった」話を読んでふとリアルに思い出しました。


さて、前段の(えっ)「プログラムに書いていない曲解説」が長くなってしまいましたが、当日に向け怖いものはいくつかあります。

・自分の体調 これは何とかする

・ダンナが風邪引きで飲み会 終電間に合うのか?

・合唱団その2で久しぶりのアカペラ曲。しかもワンステージ丸々。
格好付け(?)なのでピッチパイプは登場しません。
ビクトリアのエレミヤ哀歌の各レクツィオ(朝課という名の深夜礼拝における、セクションごとの「朗読」ひと塊)ごとに、オルガンのソロ曲を挟みます。作品と直接は関係ありませんが、ビクトリアとほぼ同時代のスペインの曲が厳選されているようです。

終止の音が皆Durなんですが、そっから同じ基音のmollで始めるのは結構緊張モンです。しかも、当時のハヤリなのか、一番高い音が第3音なんですよね~。
#G-Dur終止で一番上の音がH → ソプラノがG→B~♪と歌いだす とか

そもそも「座ってオルガン曲を聴く→おもむろに指揮者と合唱団立ち上がる→曲開始」の間、皆のピッチは残っているのだろうか…と自分を含め、ちょいと心配です。

・リコーダーのトップの御方…。ええっとですね、チラシで器楽の方のお名前をさらっと拝見したときには気付かなかったんですよ。プログラム編集でプロフィール原稿を並べて…手が止まる。濱田芳通さんって、あのラ・ヴォーチェ・オルフィカの指揮者の濱田センセイですかぁ…っっ。
リハーサルの時は代奏の方だったので、明日当日ゲネが初顔合わせです。ひょええええ、ヘタな演奏を聴かせられない、って舞台上の方に対してビビるのは久しぶりです。
#相手が「指揮者」として相対する時には「やったるかいっ」という気構えになるのですが…不思議なモンです。


さあて、この時間にこれアップして、誰に向けて書いているのか怪しいのですが…(苦笑)
明日は万全を尽くせるようにしましょう。
#今デスクトップを泳ぐトリコイデス(ムーディが声当ててるアレ)に「テレビ見ないとかもすぞ」と脅されました。観てから寝るか。
by cantotanto | 2007-11-22 23:45 | 合唱曲
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